平成24年 第4回  グリュッククラブ 白山2702.2m) 

         平成24年
9月16日(日)〜17日(月)

   9月16日(日) 晴れ
   別当出合(8:50)→中飯場(9:40〜50)→別当覗き(10:45〜50)→
  甚ノ助避難小屋(11:40〜12:30)→南竜分岐(13:00)→
  エコーラインとの合流地点(15:00)→室堂(15:25)

 念願の白山登山である。山小屋泊まりは唐松岳に続いて2回目である。1週間ほど前から天気が心配であったが、当日は見事な晴れ。マイカー規制が行われているので市ノ瀬登山センターの駐車場に車を止める。駐車場はほぼ満杯であったが、これらの車は下山者の車であるとわかり、一安心。
 好天の中歩き始める。中飯場までは快調。ここには立派なトイレがある。別当覗きからは観光新道の稜線が青空をバックにきれいに見えている。ずっと日陰を歩いてきたが、このあたりから時々真夏の太陽にも似た強い日差しが肌を刺す。過去2回暑さにやられ、ばてた体を引きずって甚ノ助小屋にたどり着いたことを思い出す。途中で白山には珍しい白装束の修験者に会った。仲間が「ほら貝を吹いて欲しい」というと気軽に応じてくれた。
 昔の小屋の少し下の方に立派な避難小屋が建っている。ここにもきれいなトイレがあり、どんどん整備されていって
弥陀ヶ原
いる。われわれは小屋の中で昼食とする。ここではさすがに笑顔がはじける。
 南竜の分岐までは少しつらい登りが続くが、われわれはエコーラインを利用するので、そこから右折して水平道を歩く。これまでに7回ほど登っている経験から、初心者には絶対エコーラインがお勧めだ。黒ボコ岩のあの急登はできるだけ避けたいものだ。右手奥にきれいな形をした別山が見えている。やがて南竜山荘など見えてくるとエコーラインの入り口だ。
 エコーラインはまだ高山植物の名残が残っている快適な登山道だ。しかし、間もなくTさんの足がつり出した。時々休憩を取りながらゆっくりと登っていく。風が強くなり御前峰にかかる雲の動きも早い。早くも室堂センターの建物が見えている。ここまでくるとちらほら紅葉も見られる。チングルマの花が咲いた後の綿毛状の実が風に震えている。木道に入ると弥陀ヶ原である。夏であれば高山植物も見られ、心躍るプロムナードである。それでも黄色く色が変わった広々とした草原は高山気分を満喫させてくれた。
 黒ボコ岩からの道と合流すれ
室堂方面を望む
ば、最後の難関である五葉坂である。大きな石がごろごろした急登である。センターの建物が早く見えてこないかと期待しては裏切られる。岩の間にイワギキョウが一輪風に耐えている。ようやく建物が見えてくると、思わず「バンザイ」の声が出る。
 手続きを済ませて部屋に案内される。女性が下段に、男性が上段に寝ることにした。一服してセンターでコーヒーを飲む。500円のコーヒーは今までで最高の値段だった。5時20分から夕食。20分ごとに入るので混雑も少なく、なかなかいいシステムだと思った。8時消灯。消灯後も中学生ぐらいと思われる子供が、大声で話しながら廊下を行ったりきたりしてうるさかった。なぜ誰も注意しないのかと腹が立ってきた。強い雨風が一晩中続いていた。
   9月17日(月) 雨
 
室堂(7:25)→エコーラインとの合流地点(7:45)→南竜分岐(8:45)→
  甚ノ助避難小屋(9:10〜25)→別当覗き(10:00〜15)→
  中飯場(10:45〜11:00)→別当出合(11:50)

 ご来光を告げる太鼓の音も響かず、この雨と風では頂上を目指すのは不可能だった。以前に、建物からはみ出すほどの長い朝食の列を見ていたので、5時40分ごろ食堂に行ってみると僕らが一番乗りだった。少し待っても、座席を確保する必要が無いのでありがたい。ふりかけや海苔は自由に使え、ご飯と味噌汁はお代わりできた。
 部屋に戻ってゆっくり準備をする。ザックカバーをして雨具の上下を身につけ、雨風の中をいざ出発である。ところが黒ボコ岩の所で強い風に吹かれ、立っていられないほどであった。身の危険を感じ、いったん岩陰に避難する。少し風がおさまったのを機に急いでおり始める。それでも下から吹き上げる風は相当なもので、身をかがめるシーンが何回かあった。
 南竜分岐まで来ると、周りが背の高い木で囲まれていることもあって、ようやく安心できた。おニューの靴だったこともあり、今度はUさんの奥さんのくるぶしが痛くて歩きにくそうだった。中飯場でUさんがかいがいしく奥さんを介抱するのを見て「大宮地区の旦那さんはみんな優しいのう」とうらやましがることしきり。
 下に降りるにつれて大木が風に揺れ、風の音が大きく葉を鳴らしている。下を見れば小枝が散らばり風の強さを物語っている。ようやくススキの間から吊り橋が見えてきて、元気が出てくる。でも、いざ橋を渡ろうとすると風にあおられよたよたする。別当出合に着くとバスは発車するところ。何とか全員飛び乗って一安心。
 下は快晴で暑い。あの天気は何だったんだろうかと思ってしまう。白峰の総湯で汗を流し、かた豆腐に舌鼓を打てば、すべては楽しい思い出に変わってしまう。