台湾の旅  2016年

 

10月8日(土) 

  4時半、Uさんの車に8名全員が乗って小松空港に向けて出発。空港で日本旅行の受付をすると、オーバーブッキングのため、なんとビジネスクラスに変更になっていた。全員ビジネスクラスは初体験なのでいやがうえにも期待に胸膨らむ。チェックインすると、小松空港にはラウンジがないので、千円の食事券を渡された。それぞれビールや軽食で前祝だ。
 機内へは最初に案内され、なんだか偉くなった気分。座席はゆったり、足元も広い。ヘッドセットは完全に耳を覆うタイプで、高級感がある。テーブルクロスが掛けられ、出発前のワインとおつまみ。食事は前菜、メイン、デザートと、瀬戸物の器で出される。
 無事、台湾桃園空港に到着。我々8人を乗せたマイクロバスは、夜の高速道路を一路慶泰大飯店(ガーラホテル)を目指す。夜市へ行くことも考えていたが、11時半を回っていたのでコンビニで飲み物やつまみを買って第一日目はあっけなく過ぎて行った。
10月9日(日)





 
 ガーラホテルの朝食バイキングは、メニューも比較的豊富で美味しかった。YちゃんのMCで和やかな一日になる。それにしても、たった8名のために大型バスが迎えに来てくれたのにはビックリ仰天。まず最初に、9時の衛兵の交代式に間に合うよう、予定を変更して「忠烈祠」に行く。ここには辛亥革命や抗日戦などで命を落とした約33万人の英霊をまつっている。英霊と建物を守る衛兵の交代式が人気のセレモニーで、一糸乱れぬ動きは圧巻だ。
 次が「故宮博物院」。中国文化と芸術の殿堂として、世界屈指のコレクションを誇っている。ガイドの声だけが聞こえるヘッドセットは、これだけ大人数がいて静寂を保つには非常に有効だ。こ
     
こで印象に残ったのは次の3つだ。【毛公鼎】カメ部分の内側に500文字にわたる銘文が刻まれている銅器、【翠玉白菜】本物そっくりの白菜にキリギリスとイナゴがとまった翡翠の彫り物、【象牙龍紋球】一本の象牙から何層もの球体を削り出す象牙多層球の傑作
 途中でお土産物店に寄る。こういうツアーでは仕方がない。お茶の試飲のために店員を囲んで座ったが、説明に説得力がない。日本人はもう買わなくなったので少し投げやりになったのだろうか。結局誰も買わなかった。添乗員さん(結局名前はわからなかった)が少し不機嫌に見えたのは思い過ごしだったのだろうか。僕はお土産に乾燥マンゴーを買ったが、後の店では売っていなかったので、これはよかったと思う。十数年前に訪れた時は、客にピタッと張り付いて離れなかったものだが、そういう売り方はもう行わないのかもしれない。
 12時を回ってしまったので昼食会場の「台北101」へ行く。高さ508メートル地上101階の台北のランドマークだ。ここはグルメやショッピングが楽しめるモールが入っている。小龍包の有名店「鼎泰豊(ティンタイフォン)」も入っていて、長蛇の列ができている。われわれはツアーなのですぐに入れてくれると思いきや、1時間待たなければならなかった。その間に買い物は楽しめたが、さらに20分待ってようやく小龍包にありつけた。噂に違わずとてもおいしかったので、待たされて喉まで出かかった文句もどうにか引っ込んだ。
 「中正紀念堂」は中華民国の初代総統として君臨した蒋介石の功績をたたえるために建てられた紀念堂である。蒋介石の銅像は63メートルもあり、背後の壁には彼の政治理念である三民主義の《倫理、民主、化学》という言葉が刻み込まれている。正面の階段は、亡くなった年齢に合わせて89段ある。
 「龍山寺」は1738年に建立された台北最古の寺院で、格式も一番高い。極彩(ごくさい)色に彩られた絢爛(けんらん)豪華な寺院の屋根や柱には、精密な彫刻が施されている。本尊の観世音菩薩は第2次世界大戦の時米軍の爆撃で崩壊した際に、唯一消失を免れたので、民間信仰の対象として人気を集めている。
 これで市内観光のツアーは終了したが、別に九份のツアーを申し込んであるので、ホテルでコーヒータイムとする。やってきたワゴン車の運転手は若い女性だった。一抹の不安があったが、運転はしっかりしたものだった。高速道路にはいるとポツポツ雨が降りだし、やがて本格的な雨となった。台風19号の影響か、九份に向かって山に登って行くと風も強くなってきた。歩いている人を見るとずぶ濡れで、とても下車する気にはなれず、Uターンして台北に引き返し、士林夜市で下してもらう。ここは雨でもとてもにぎわっていた。
 おばさんひとりでやっている麺の店で軽く食べて、地下の海鮮の店でエビ、カニ、アワビなどぜいたくに食い散らした。もう少しゆっくりしたかったが時間に追われ、9時半ごろホテルに戻ってきた。今日もコンビニ宴会。みんな疲れている様子で、11時ごろには各部屋に引き揚げた。
 10月10日(月)


 今日は地下鉄に乗って「国父紀念館」を目指す。自動券売機では、まず行先の料金を確認し、料金と枚数を選び、お金を投入するとトークン(プラスチックのコイン)が出てくる。それを改札口でかざせば自動改札を通過できる。図書館に行くという女学生に乗換駅まで親切に案内してもらったのも自由行動の楽しい経験だった。
 「国父紀念館」は建国の父、孫文の偉業をたたえる紀念館だ。館内には中正紀念堂の蒋介石と同様、巨大な孫文の銅像が安置されており、国父史跡展覧室には、建国宣誓書など、孫文の足跡をたどる資料や著作、遺品などが展示されていた。紀念館がある中山公園はとても広く、ちょうど建国記念の行事が行われる所だった。
 101のビルが見えたので、そこまで歩いて行くことにした。公園の前で朝市をやっていたが、地元の人を対象にした規模の小さなものだった。「台北101」の喫茶店でコーヒーを飲む。これがラージカップに入った大変な量で、みんな半分以上を残していた。101から地下鉄に乗ってホテルに戻るとちょうど集合時間の少し前だった。今度のバスは他のお客さんも乗せるからか、遅れて到着し、少しイライラしながら待っていた。
 空港でチェックインしてエバー航空のラウンジへ行く。ビジネスクラスの乗客しか入れないゆったりしたラウンジでは食べ物や飲み物を自由にとることができた。あまりの豪華さに少し偉くなったような気がした。時間と戦いながら最後のお土産を買い、搭乗時間を過ぎて飛行機に駆け込む。帰りもビジネスクラスの美味しい食事をいただき外の夕焼けを見ていると、あっという間に小松の上空だった。空港ではUさんやTさんが石川のテレビ局からインタービューを受けた。台湾行きが毎日になることに対して感想を聞かれたのだった。
 短い期間ではあったが、充実した楽しい旅だった。しかし食べ物や観光で思い残したこともあり、是非リベンジ旅行をしたいものだ。