八 甲 田 山 (1584m) 

   平成29年6月13日(火)   晴れ

     酸ヶ湯登山口(9:20)→仙人岱ヒュッテ(10:55〜11:00)→八甲田大岳
   (12:00〜20)→大岳避難小屋(12:40〜45)→上毛無岱(13:30〜35)→
   酸ヶ湯登山口(14:50)

東北旅行をするために新潟から秋田に行くフェリーに乗る。フェリーに乗るのは今度で5度目だが、これが最後になるかもしれない。八戸にいる友人を訪ねるのも今回の旅行の目的の一つだが、せっかくなので一つぐらいは山にも登りたいと思った。 前回は八甲田ロープウェイを使い、赤倉岳、井戸岳を経由して八甲田大岳に登り、酸ヶ湯に下山したが、今回は酸ヶ湯から八甲田大岳に登り、毛無岱を経由する周遊コースだ。秋田では小雨が降っていたが、登山口では青空が見えてきて、絶好の登山日和となった。ただ、前日は雨だったのか、足元はかなりぬかるんでいる。
 前方から若者のにぎやかな声がこだましてくる。リーダーらしき人に聞くとアメリカ軍の兵隊さんらしい。Tシャツや思い思いの服装をしている所がいかにもアメリカらしい。僕を先頭に立たせてくれたが、常に彼らの前を歩かなければならないと思うと、気持ちは少し負担だった。
 

 左から赤倉岳、井戸岳、八甲田大岳

所々雪渓が残っていて、1カ所傾斜のきつい所をトラバースする危険な所があった。足を踏み外したらどこまでも落下していきそうだ。硫黄で黄色くなった砂地と硫黄の匂いが漂う地獄沢を過ぎると急登は終わり、木道が続く仙人岱(せんにんたい)に出る。ピンクのミツバツツジが太陽に鮮やかに輝いている。前方の小岳がきれいな三角錐の形を見せている。
 
いよいよ大岳に取付く。眼前の雪渓がとてつもなく広く感じる。ロープに沿って一歩ずつ登って行くが進んでいる実感がない。振り返れば八甲田を取り巻く峰々が、雄大な姿を見せている。短い樹林帯を抜けて森林限界を超えると、火山性の岩がごろごろする急登が始まる。喘ぎながら登って行き、大噴火の名残を残す鏡沼が現れると頂上はすぐだ。
 
頂上には冷たい風が吹き荒れていた。ケルンの影に隠れて風をよけながら、昼食のパンをかじる。アメリカ兵のにぎやかな声が響いてきたので、あわてて下山を始めたが、赤倉岳、井戸岳の山並みを除いて、頂上から何も見ていなかったことに気が付いて後ろ髪を引かれる思いがした。  大岳避難小屋の前のベンチに香港から来た若いカップルが座っていた。ロープウェイ駅から歩いてきたそうだが疲労困憊の様子。スニーカーの軽装では大変だっただろう。どこから下りるのが一番楽か聞いてきたので、僕自身歩いたことがなかったので、少々無責任だとは思ったが、毛無岱(けなしたい)のコースを教える。
 
毛無岱は八甲田で最大の規模を持ち、上下2段に分かれた大湿原だ。アオモリトドマツの樹林帯を抜けると早速木道が始まる。今を盛りと咲いているのはミズバショウとチングルマだ。ここまで大きな群落を作っているチングルマを見たのは初めてだ。また、点在する池塘の周りに咲くミズバショウと青空を映している下毛無岱の姿はまさに絶景と言える。そして「花の百名山」で八甲田山の花に指定されているヒナザクラも可憐な花を咲かせていた。