No.100    早池峰山(1917m)
                       
                    平成16年7月27日(火)  晴れ
 
   河原坊(4:45) → 小田越登山口(5:25) → 1合目(6:00) → 
   2合目(6:30) → 朝食(6:35〜50) → 5合目(7:10) → 8合目
   (7:40) → 頂上(8:00〜35) → 千丈ヶ岩(8:55) → 打石(9:05) 
   → 御座走り(9:20) → 河原坊(10:55) 
 河原坊から登るのと小田越から登るのとどちらがいいのか迷っていたが、宿の主人も昨日登ったという人も河原坊を勧める。ガイドブックも半々だ。最初に小田越までの林道歩きはあるが、かかる時間やなだらかさからいっても、小田越の方が有利に思えた。ちなみに、深田久弥は河原坊から往復している。「峰南荘」にはいってからほとんど雨が降っていたが、夜半過ぎにはやんでいた。
 小田越にはすでに何人かの人集まっており、入念に準備体操をしているグループもいる。見上げれば早池峰山のなだらかな頂上部が見える。入口の木道はすぐに林に囲まれた細かい石の登山道に変わり、やがてこの山独特の蛇紋岩のゴロゴロした道が頂上まで続いている。登山道以外は緑に囲まれ、さまざまな高山植物が現れてくる。この山が「高山植物の宝庫」と言われる所以である。お目当てのハヤチネウスユキソウは間もなく確認できた。強い風の中で必死に立っている姿は気品のある孤高さを感じる。振り帰ればハイマツの緑がじゅうたんを引きつめたように見え、蛇行した登山道を人の列が続いている。その向こうには綺麗な三角錐の薬師岳が対峙している。
 鉄梯子を登れば剣ヶ峰への分岐で、頂上へは左に折れる。頂上までは木道のあるほとんど平坦な気持ちのよい道である。頂上部のおだやかな山容はこのあたりで造られているのであろう。避難小屋や祠がある頂上部はこんもり盛り上がった岩の上だ。「百名山完登」の瞬間がもうそこまできている。
 書道家であるT先生(旦那さん)が僕の為に横断幕に「祝日本百名山完登」と書いてくださった。それを前に4人でバンザイをする。他の見知らぬ登山客も祝福してくれる。うれしくなって家内が持たせてくれたワインをみんなに振舞う。さっそく家内にその様子の写真をつけてメールする。「おめでとう」の返事が返ってくる。今回立ち会ってくれた三人の山仲間、そして影で支えてくれた家内や家族たち。感謝の気持ちで一杯だ。
 帰りの河原坊コースは急峻な岩礫地である。登ってくる人は一様に疲れきって苦しそうな顔をしている。この見上げるような急坂を登るのは大変だろう。どうしてこちらの道を勧める人がいるのか不思議な気がする。「もういやだ」と駄々をこねていた小学生、真新しい登山靴で登り始めた高齢者の人たち、無事頂上までたどり着けただろうか。ゴロゴロした蛇紋岩の道は結局登山口まで途切れる事はなかった。
 ついに日本百名山を完登することができた。これが自分にとってどう言う意味を持つのか、今は定かではない。しかし「やればできる、手をこまねいていただけでは何も出来ない」ということだけはわかった。この自信はこれからの人生できっと役立つような気がする。そして何よりも、山を登れるだけの体力と行かせてもらえる環境に恵まれていることに感謝したい。