No.76 穂高岳(北穂高岳3106m 奥穂高岳3190m 前穂高岳3090m)

           平成13年7月29(日)〜30日(月)    晴れ
 
 @上高地バスターミナル(6:05) → 明神舘(7:05) → 徳沢園(7:45〜55)
  → 横尾(8:50〜9:10) → 本谷橋(10:10〜30) → 涸沢で昼食
  (12:00〜20) → 涸沢キャンプ場(12:30) → 南稜テラス(15:20) →
  北穂高岳(15:40) → 北穂高岳小屋(16:00)
 A北穂高岳小屋(5:25) → 涸沢岳(7:30〜40) → 穂高山荘
  (7:55〜8:15) → 奥穂高岳(9:00〜15) → 紀美子平
  (10:55〜11:00) → 前穂高岳(11:30〜40)→ 紀美子平・昼食
  (12:10〜30) → 岳沢小屋(14:35〜55)→ 上高地バスターミナル
  (17:20)

 @穂高岳への登山は数年前に一度計画したが、地震でいくつかの登山道が寸断されやむなく中止したことがある。それから何となく避けていたのは、山の経験をしっかり積んで登らなければ「恐れ多い」という気持ちがどこかにあったからだ。
 例によって前日駐車場泊をしたおかげで、5:30の一番バスで上高地に入ることができた。「日曜日にこんなに人が少ないのは選挙の影響かな」とぼやくほど静かな上高地であった。徳沢園で青リンゴをかじり左手に見え隠れする穂高連峰を見ながら、横尾山荘まではほぼ平坦な遊歩道である。
 新しく作られたと思われる横尾大橋で梓川を渡り、しばらく行くと屏風岩が左手に見えてくる。本谷橋を渡った所で休憩。川からのヒヤリとした風が気持ちよかった。若者が1人疲れ果てて死んだように眠っている。
 樹林の中をトラバースして行くと、前方に穂高の山々と涸沢ヒュッテの旗が見えてきた。雪渓のある河原で昼食。今日は涸沢小屋で泊まる予定だったが、時間的にまだ余裕があるので北穂高小屋まで行くことにした。
 有名な涸沢のキャンプ場を過ぎると、道は急登の連続であった。下を見るとカラフルなテントが点々としており、涸沢カールの真ん中を奥穂高へ続く登山道が延びている。前穂高の階段状の峰がすっきりとした形で見える。道はさらに厳しくなって、鎖場やハシゴも現れてきた。
 南稜のテントの指定地を過ぎたあたりから膝がガクガクでふらついてきた。「こんな時に事故が起こるんだ」と気を引き締め、やっとの思いで北穂高岳山頂に立つ。ちょうどガスが出てきて視界はあまりよくなかったが、安堵感と達成感でしばし興奮していた。
 北穂高小屋は頂上直下の絶壁に張りついている。テラスから下を覗くと、遥か下のほうに槍ヶ岳方面のキレットが見える。同室の2人の女性は槍ヶ岳から縦走してきたらしく、その時の恐怖をいつまでも話していた。

 A翌朝は快晴。常念岳の左側から上る感動的なご来光を拝むことができた。そして北穂高岳の頂上からは昨日見ることができなかった槍や穂高の大パノラマを堪能することができた。本当にここまで足を伸ばして正解だった。
 さて今日は最大の難関である涸沢岳の登りが待ち受けているので気を引き締めなければならない。しかし、西穂高岳の時もそう感じたが、一つ一つ慎重に進めて行けば想像していたよりはやさしく感じるものだ。途中の岩場では雷鳥が子育ての真最中だった。4羽のかわいい雛を確認することができた。降りてきた人はみんな涸沢岳の最後の取り付きが怖かったといっていたが、登りだったせいかあっという間に通りすぎてしまった。それでも涸沢岳の頂上に立った時は「やったー」と叫んでしまった。
 有名な穂高山荘で一休みして、いよいよ最高峰の奥穂高岳を目指す。ハシゴがかかっている所もあったが、スムーズに頂上に着くことができた。涸沢岳、北穂高岳と今日の行程が手に取るように見える。槍ヶ岳は随分遠くへ行ってしまった。背後にはジャンダルムを始めとする西穂高岳に続く岩峰が屏風のように並んでいる。
 奥穂高岳と前穂高岳までの道はつり橋で結んだように見えることから吊り尾根と言われている。アップダウンが少ないかわりに距離は長く感じた。途中ではほとんど人に会うことは無かったのに、前穂高岳の登り口である紀美子平に着いたら大勢の人で賑わっていたのにはびっくりした。かなり疲れていたので少し迷ったが、O先生に促されて四輪駆動で急登を登っていった。先客が2人だけの静かな頂上だった。
 岳沢ヒュッテまではかなりの急坂を一気に降りて行く。上高地までは思いのほか時間がかかった。かなり疲れていたが、2泊3日のコースを1泊2日で周ってきたのだからちょっぴり体力に自信を感じた。