駅前発八時五分のバスで岩木山神社へ行く。広々とした参道、奥行きのある建物はさすがに風情がある。昔から山岳信仰が盛んで、岩木神社奥宮を目指して幾つかの道が付けられているが、ここが由緒正しい登山道であろう。百沢スキー場の横からいよいよ登山道に入る。
雑木林に囲まれ視界のきかない単調な上りが延々と続いている。ただーつの救いは頻繁に現れるアケビの実であった。すでに誰かに取られてしまっているのものや、熟し過ぎているのも多かったが、食べ頃の実もかなり残っていた。口に含むと何とも言えず甘く、遠い昔を思い出させるなつかしい味だった。
姥石を目指して登ったのだが、結局誰も見つけられず、知らないうちに通り過ごしてしまったらしい。
降りてくる人にはほとんど会わず、ようやく会った人からの情報によると、昨日の石による死亡事故のために頂上には登れないそうだ。頂上を踏めない覚悟だけはしておかなければならな い。
道はー転して水の無い沢を歩く事になり、勾配もきつくなってきた。錫杖清水の所で昼食。さっそく清水で果物を冷す。 青森で買ったリンゴは瑞々しく美味であった。
第ーオミ坂では警 察や地元の人が大勢出ていて、ものものしい雰囲気だった。しかし、幸運なことに点検も終わり頂上まで行ってもいいと言われた。死亡の現場には花束が置いてあった。
落石に気付いて身を隠したが、石はバウンドして方向を変え命中してしまったそうだ。皮肉なものである。
頂上は岩でゴロゴロしていた。生憎のガスで視界はよくなかったが、時々スーッと晴れて眼下に雄大な津軽平野を見る事が出来た。
帰りは嶽温泉で途中下車し、湯の花の浮いた良質の温泉につかることが出来て、満足満足。
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