海外トレッキング日記  韓国 山と古宮の旅 2023年9月

9月10日() 

晴れ

 「えち鉄」と「しらさぎ」の乗り換え時間は8分しかなかったので少し焦ったが、ぎりぎり間に合った。
 「セントレア」から無事「仁川国際空港」に着き、まずWi-Fiの設定をする。今回妻から持って行くようにきつく言われていたのだ。さっそく妻にLINEをする。まるで日本にいるみたいにいつでもどこでも連絡できるのがいい。それから両替をしてT-moneyカードを買いチャージする。このカードはバス、電車に自由に乗れ、コンビニでも支払いができるので便利だ。 A’REXという電車でソウル駅まで行き、地下鉄に乗り換えホテルがある忠武路へ行く。そこはホテルではなくホステルだった。よく調べなかったのも悪かったが、狭い部屋でスーツケースを広げるのもやっとだった。安いのと駅に近かったので大抵の事は我慢してこれからのソウルを楽しもうと思った。

9月11日() 

晴れ


 

 朝食は近くのコンビニでサンドイッチを買う。昨日ホテルで現金を渡したので財布にほとんどウォンは残っていず、コンビニではT-moneyカードが使えるのがありがたい。
 今日は景福京駅から仁王山を目指す。ポータブルWi-Fiを持って行ったのはナビも使えるので便利だった。車道から途中で山道に入り城壁に沿った階段を登って行く。よく写真で見かける韓国らしいところだ。朝早かったからかフランス人の女性一人を除いて誰も歩いていなかった。
 間もなく通行止めのサイン。軍の施設があるので遠回りさせるらしい。しかし、再び縄が張ってあって韓国語の指示がしてあったが、読めないので脇の山道に入って行く。途中からとても歩けそうにないけもの道のようになっていったが、強引に尾根道まで登って行った。頂上に行こうとしたら頂上では工事をしているらしく、おじさんに叱られてしまった。やむなく元来た道を戻って行くとポケットに入れておいた帽子が無い。慎重に探したら見つかったが、今度はメガネが無いのに気が付いた。いつ落ちたのか気が付かなかったのが不思議だった。小枝にひっかかりでもしのだろうか。再び気を付けて降りると尻もちをついてしまい、ふと左手を見るとめがねが落ちていた。まさに奇跡だ。
 帰り青瓦台の前を通り、景福に寄ってみた。チマチョゴリを着た女性がやたらと多い。チマチョゴリを着ていると入場料がいらないそうだ。ちなみに65歳以上も無料であった。疲れていたので長居はせず、一旦ホテルに戻ることにした。
 3時ごろ東大門に行く。「東大門デザインプラザ」が気になっていたのだ。現代アートを見て、館内のコーヒーショップでコーヒーとケーキをたのむ。カードが使えたので初めてゆったりとした気分で食べることができた。 店を出る時ビデオカメラが無いのに気づき青くなったが、店に入る前に休んだ近くの場所で見つかりホッとする。ここソウルで最大限気をつけなければならないという警告と受け止めなければならない。

9月12() 

晴れ  

道峰山(トボンサン 
740m)
 


道峰山駅(7:50)→食堂街(8:35)→道峰寺との分岐(9:50)→見晴台(10:45)→昼食
(11:20~30)→道峰山(12:05~20)→危険なルートとの分岐(12:50)→道峰山直下の下山口(13:50)→登山口(15:40)→道峰山駅(16:10)
 道峰山駅に着くと、登山の格好をした人が沢山いたので、彼らについて行こうと思った。駅を出た所にある信号が赤に変わり、青になるのを待っている間に誰の姿も見えなくなった。ここはナビに頼ることにした。明らかに彼らとは違うルートのようであったが、遠回りであったとしても頂上へは導いてくれるだろうと歩き始める。
 かなり車道を歩いた後、ゴロゴロ岩が転がる渓谷沿いの山道に入る。なめ滝が気持ちのいい音を響かせ、時々大きな岩が川沿いに現れる。ただ、ここまで誰にも会わなかったのには心細い思いだった。
 分岐の所で2人の男性が休んでいた。どちらへ行ったらいいのか分からなかったので携帯のアプリを使って聞いてみた。どっちからも行けるようだったが、「僕らの後について来い」と言われ、左側の距離の短い方に入って行った。彼らはどんどん先に行って適当な所で待っていてくれる。早いペースにだんだん離されて行く。T字路の左へ行けば道峰山と言う分岐で彼らと別れることになった。
 やがて、危険なルートとの分岐に着く。易しい方に行くことに決めていたのに、年配の人が直進していくのにつられて、後に続くことになった。電波塔がある近くの見晴らし台からは直下に高速道路が見え、その後ろの雄大な山々を眺めることができた。件の危険な個所が現れ、手すりに沿って少し降りてみたが、登り返しの長い急斜面を見たら戦意を喪失し戻ることにした。お腹がすいていたので、前方の道峰山を眺めながら昼食をとる。韓国のおにぎりは食べられなかったが、サンドウィッチはおいしい。
 150mと書いてある所から普通コースに降りて行く。ここからは割と楽に頂上に着くことができた。白い高層アパート群とそれを囲む山々が絶景を作り出していた。この山は山頂から見える景色で有名だ。
 帰りは危険なルートとの分岐まで順調に下りて行ったが、かなり歩いても右に折れる道が出てこず、見たことも無い景色に変わっていた。前から来たおじさんに駅に降りる道を尋ねるとまた後について来いと言う。この人も歩くのが早く、途中からついていけなくなってしまった。おまけに浮石に躓いて膝を打ち、ズボンが破れ血が出る始末。せっかく下りてきた道をどんどん戻って行き、ついに道峰山山頂直下まで戻ってしまった。この間約1時間、ため息が出るほど無駄な歩きであった。
 道は反対側にあった。ただ、鉄の手すりが延びた急傾斜の岩の道だったので危険な個所が多かった。登ってくる人は多く、ここがメインルートらしい。痛めた左足を引きずりながらゆっくり下山する。山寺を二つ越してようやく人里に下りる。町にはいるとバス停があったので「道峰山駅に行くバスはどれですか」と尋ねても要領を得ず歩き始めるとおばさんが「後について来い」と歩き出した。必死で後について行くと意外に駅はそれほど遠くなかった。このおばさんは、何と僕の乗るプラットホームまで連れて行ってくれた。なんと親切な人だろう。ホテルに戻ると5時過ぎ。長くてとても疲れた1日だった。

 9月13日() 

時々雨

 今日は雨の予報なので山は中止にする。昨日の疲れが残っているのでいい休養になるだろう。8時ごろ両替目的で明洞に行く。前回明洞は良く歩いたのに、今回は面影が全くなかった。おそらく違った出口から出たからなのだろう。
 両替を終えて景福京へ。2日前に訪れていたが、衛兵の交代式を見たかったのと、ガイドツアーに参加して景福京のことについてもっとよく知りたかったからだ。景福宮は、王の住む宮殿の中で最高位の宮殿だ。広い宮殿を隅々まで案内してもらった。自分では絶対行かない所を訪れたり、各宮殿の歴史、オンドルの話など聞いてとても充実したツアーであった。ただ、日本の植民地であった時代、建物の90パーセントが日本によって壊されてしまったということを聞いて、何ともいたたまれない気持ちになった。
 次に訪れる昌徳宮のある安国駅近くで海鮮スンドゥブの昼食を食べる。初めての韓国料理はとても美味しく感動的でさえあった。昌徳宮でもツアーに参加した。昌徳宮は美しくて広い後苑があるため、他の宮殿より特に王様から愛されていた。自然の地形をそのまま生かし、谷には幾つもの池を作り、周辺にはあずまやを建てた。学問所や図書室など当時をしのばせる世界遺産の建物が点在し、まるで韓ドラの世界に引き込まれたようだ。
 疲れていたが、近くなので北村韓屋村を訪れる。ここは朝鮮時代から残る韓国の伝統家屋が残る地域だ。ただ人が多すぎてあまり雰囲気を味わえず、速足で一周しただけだった。

9月14日() 

晴れ  

仏岩山(プラムサン 
508m)

 タンゴゲ駅(7:30)→登山道入り口(7:45)→頂上まで1km地点(8:25)→仏岩山
(9:20~35)→頂上まで
1km地点(10:15)→登山道入り口(10:35)→タンゴゲ駅(10:55)
 今日は今までで一番の快晴。乗り換えなしで行けるタンゴゲ駅の出口を出るとスラム街のようなバラック小屋が集まっている。韓国の駅前でこんな姿を見たのは初めてだった。そこを抜けてけると高層のアパートや商店街出た。方向はわかっていたが、いくつもルートがあるらしいので何人かの人に聞いて登山口に達する。
 いきなりの階段から始まる。ここも絶えず水の音が響き、豊かな水が流れている。やがて韓国特有の大岩が出てきて、それが頂上まで続く。傾斜が急な所では、日本の山の鎖と違って鉄の手すりが取り付けてある。しっかり固定されている分こちらの方が登りやすい。
 やがて、韓国旗が青空にはためいているのが見えると、そこが頂上だ。展望台を過ぎて、怖い思いをして最後の急登をよじ登り、頂上に出た。そこには頂上を示すプレートが岩に張り付けてあった。一人いた先客に写真を撮ってもらうが、狭いので岩にしがみついてポーズをとる。
 一段下りた所に日本語を話す韓国人がいて、眼前の景色を説明してもらう。今日は今までとは違って景色がはっきりとしている。時計回りに見て行くと、ロッテタワー、Nソウルタワー、一昨日登った道峰山、何年か前に登った仏漢山、今回登る予定だった水落山などが白い高層ビルを囲んでいる。
 一旦ホテルに戻って石焼ビビンパの昼食。その後ノドゥル島に行ってみた。橋の上から眺めると、とうとうと流れる漢江沿いに間隔を開けずに流れる車の洪水が見られる。何か異星の生き物のうごめきに見える。これが韓国の力でもあるのかもしれないが。ノドゥル島は音楽の島だと言われているだけあって野外ステージなど充実していたが、あまり興味も無かったので長居しなかった。最後に美味しいチジミの夕食を食べてあっという間の韓国の旅は終わることとなった。

9月15日() 

曇り
 何度も部屋を点検してホテルを出る。ソウル駅で仁川空港行きの列車に乗り継ぐ際に迷い、かなり時間をロスしたが、ホテルを早く出たおかげでパニックにならずに済んだ。大韓航空のある第2ターミナルは新しくできた所で、大韓航空が幅を利かせている。昔は運賃の安さでよく使っていたが、今は結構値上がりしていてなかなか乗る機会がない。今回の旅行は昔使った飛行機で得たマイルのおかげである。たった2時間余りのフライトなのに、しっかりした機内食が出たのも感激であった。