平成15年     鶏冠山(491m)・竜王山(605m)

                            1月25日(土) 曇り時々晴れ

  一丈野営場駐車場(10:50)→天狗岩方面の道を引き返した地点(11:45)→落ヶ滝
  (12:05〜10)→尾根(12:45)→鶏冠山(13:00〜30)→天狗岩(14:30〜35)
   →耳岩(14:55)→竜王山頂上(15:20〜30)→白石峠(15:45)→狛坂寺跡
  (16:05〜10)→一丈野営場駐車場(17:10)

 この冬2度目の滋賀の山である。一抹の不安は登り口を地図上で確認できなかったことである。栗東ICを降りて、人に4回尋ねてようやくキャンプ場の駐車場に着く。地元の人でも山の名前を知らなかったり、隣町のこととなるとわからなかったりする。
 山の匂いを全身に浴びて歩き出す。シダ類が多く、小川が幾筋も流れており、ニュージーランドのミルフォード・トラックのトレッキングを思い出す。
 トレイルを右にはずれて落ヶ滝を目指す。ところが、案内書には「沢の対岸に渡れば落ヶ滝まではすぐだ」と書いてあるのに、行けども行けども着かない。40分ほど歩いてこの道が天狗岩を直接目指すルートで落ヶ滝はとっくに過ぎていることがわかった。間違えて引き返すのは精神的に疲れる。間違いの原因は、もう一度右に曲がらなければならないT字路の左手に立派な「落ヶ滝起点」という標識があったことだ。そのおかげで右手に伸びるトレイルも小さな標識にも誰も気づかなかったのだ。「起点」などと紛らわしい表現を使わないで「落ヶ滝右に入る」と書いておいてくれた方がどんなにありがたかったことか。
 意地で到達した落ヶ滝は、水量こそ余りないが、絶壁の岩肌を伝う高度感と山奥の神秘さを秘めていた。
気をとり直して鶏冠山に向かう。ところが、北峰縦走路から往復するつもりが反対側から頂上を目指すことになってしまった。途中に間違えるような道は無かったと思うのだが。しかし、同じ道の往復よりよりは結果的にはよかったのかも知れない。
 鶏冠山には頂上を示す正式な標柱はなく、山の会の標識が4つばかり木にくくりつけてあった。雑木林に囲まれて見晴らしはよくないが、良い時間だったので昼食にした。温かいみそ汁とスープが体を温めてくれた。
鶏冠山を降りながら前方を見ると目指す竜王の山並みは遙か遠くである。かなり下まで降りることになり、縦走路ではなく2つの独立峰を結んでいるだけではないのかと思えてくる。
 しかし、歩いてみると思ったよりも歩きやすく、鶏冠山はどんどん遠ざかり、奇妙な岩が点在する山並みがぐんぐん近づいてくる。花崗岩の林立する山は独特の雰囲気を持っており、天狗岩近くの細長い岩は観音像に見える。
 天狗岩は、雨で削られた奇妙な形の岩の集まりである。細い岩の間を通ったり、必死でよじ登ったりすると10畳くらいの平らな岩の上に出た。眼下には大津の町と琵琶湖、対岸に比良山系が灰色の空の下に連なっている。右手下方にはこのあたりのシンボル的存在である三上山の綺麗な円錐形が見える。360度の大展望である。
 白石峰から竜王山までの尾根道は、気温も低く少し積もった雪がツルツルになっていて滑りやすかった。やっとの思いで着いた竜王山の頂上は北側だけ開け、鶏冠山や三上山が見えた。時間が押していたので、頂上達成の余韻に浸る間もなく下山。
 途中の狛坂寺跡の岩にある「狛坂磨崖仏」は約1200年前に彫られたといわれ、中国で見られそうな神秘的な仏像である。長い長い林道を通り駐車場に戻ると、薄暗くなり始めていた。