No.10          霧 ヶ 峰(車山1925m)
                          
                     平成8年8月11日(日)  晴れ

 車山の頂上は2回踏んでいる。最初は、大学に入った年にサークルの夏合宿で白樺湖を訪れた時である。その折1日を山に遊び、随分歩いて確かに頂上を踏んだのだが、なだらかな緑の草原を思い出すだけで定かな印象は無い。ただ、なぜか鮮明に覚えている出来事がある。下山の途中に茶屋に寄ってラーメンを注文したのだが、友達が「メンマたくさん入れてね。」と言ったのだが(僕はその時メンマという言葉を知らなかった)、出てきたラーメンにはメンマどころかネギしかのっていない家庭用のインスタントラーメンであった。期待していた僕らは言葉も無くただ無言ですするのみであった。
 2回目は家族で霧ヶ峰で2泊3日のキャンプをした時だ。大学生になったばかりの長男が珍しくついてきた。奇しくも、父も子も大学1年で車山に登ったことになる。
 もっとも今回は上りにリフトを使った。頂上は人でごった返していた。サンダルやつっかけ姿の若者が多く(人のことは言えないが)、とても2千メートル近くの山とは思えない。
 それでも眼下には白樺湖、その奥には八ヶ岳をはじめとする南アルプス、そしてき北には美ヶ原高原などが望め展望はさすがである。それにしてもこの山は緑のじゅうたんを敷きつめた草原といった感じである。
 帰りはゆっくりと歩いて下りる。ニッコウキスゲには遅過ぎたが、それで色とりどりの植物の花が咲いていた。でも折からの暑さで、子供たちは早く降りてしまいたいのかドンドン先に行ってしまう。その後ろ姿を眺めながら家族そろって旅行できるのは今度は何時だろうか、と考えていた。