
割引岳から見た巻機山 |
駐車場を出るとすぐ、一般用の井戸尾根コースと上級者用の割引岳コースに分かれるが、迷うこと無く割引岳コースを選んだ。しかし割引沢に出て最初の徒渉で行き詰まってしまった。靴に水が入りそうな個所があるのだ。他のルートも探してみたが渡れそうな所が無い。引き返して避難道を行くことにした。約20分のロスタイムだった。
30分程歩くと引き返してくる人がいた。「雪渓で道が分からなくなっている。」とのことだった。意地でもここでは引き返せないと思い、ドンドン先に進んで行くと件の小さな雪渓が現れてきた。幸運にもベテランらしい人が先を歩いていたのでついて行くことにした。話しかけてみると、何回も登っているらしく「雪渓の上を歩けるので楽ですよ。」と言っていた。地獄に仏とはこの事である。
そこからは二度丘に上がったが、後はただひたすら雪渓の上を歩いただけだった。雪渓の上には冷ややかな風が吹いていて気持ちが良かったが、ややもすると坂道にズルズルと足をとられ、スティックが無かったら大変 だった。アイゼンをつけピッケルを持った三人組がわれわれを追い抜いていったが、その姿を見て「六月初旬の高山をなめてはいけないな。」と反省させられた。
割引岳の山頂からの眺めは最高だった。目の前にはこれから登る巻機山や牛ヶ岳がなだらかな山容を見せており、足元には六日町の町並み、そして遠くは奥深い越後の山並みが続いていた。
池塘が散らばる湿原の木道を行くと、実にあっけなく巻機山の頂上に着いてしまった。ガイドブックにはここが御機屋となっていて、ピークは少し先となっていたが、それらしい所に標柱は無かった。「頂上が二つあってはよくないので一つははずしたのだ。」という勝手な結論に落ち着いた。
牛ヶ岳まで足を延ばし四つの峰を踏破し、カタクリ、イワカガミ、ミネザクラ、シャクナケなどの群落と出会え、言う事のない一日だった。
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