No.93      乗鞍岳(3026m)
                       
                    
平成14年10月14(月) 晴れ 
   畳平から約5q地点(8:30) → 畳平(9:15〜20) → 富士見岳分岐
   (9:35) → 肩ノ小屋(9:50) → 乗鞍岳頂上(10:30〜11:00) → 
   肩ノ小屋(11:30) → 富士見岳分岐(11:35) → 畳平(11:45) → 
   畳平から約5q地点(12:30)
 初めて乗鞍に登ったのは麓の学生村に滞在中のことだった。もう30数年も前になる。頂上近くにすごい岩場があって、進むことも戻ることもできず死ぬような思いをしたことは鮮明に覚えている。しかし、今回それがどのあたりになるのか全く思い当たらなかった。
 その後3回家族で訪問しているが、いずれも剣ヶ峰までは行っていない。1回目は結婚した年だ。祖父母と家内、家内の妹と5人の最初で最後の旅行だった。その日は平湯温泉で泊まり、朝食に出たほう葉ミソがなぜかよく覚えている。2回目は家族旅行だ。子供はすでに3人いて、長男が小学3年生の時だ。美ヶ原、軽井沢、志賀高原と信州を巡った最初の訪問地だった。4回目は昨年の今頃、家内と祖母とで訪れている。ガスが深く、風も強く、あまりの寒さに外に出る気にもならず、車の中で弁当を食べたのだった。
 来年からマイカー規制が始まるというので、是非その前にと思い3連休の最後の日に5回目の訪問をした。「乗鞍スカイライン」は7時開門と聞いていたので、「それに間に合えばいいや」とのんきに構えていたのが大間違いだった。ゲートには「渋滞5q、待ち時間5時間」のサインが・・・。30分ほど渋滞の中で動いたり止まったりしていたが「このままでは帰りが夜になってしまう。渋滞5qなら5q歩けば済むことではないか。」と思い当たり、車を路肩の広場に止め歩き始める。これが大正解で、畳平まで45分で着いてしまった。
 レストハウス周辺は大賑わい。みんなラフな服装で、登山の格好をしているのが恥ずかしいくらいである。一旦お花畑の木道まで降り、コロナ観測所まで続いている広い道まで登り返す。小さな子供を連れた家族やかなりの年輩の人も歩いており、3000mの山を目指していると行った感じではない。
 肩の小屋からはいよいよ登山道が始まる。黒い火山灰がだんだん岩に変わっていく。数日前に例年より早い初冠雪があり、その名残が岩の間で白く固まっている。稜線には、雲一つない青空の下、登山者がアリのように続いている。
 かなり遠くに見えた最高地点の剣ヶ峰も、実際歩いてみるとあっけないくらいに早く着いてしまった。乗鞍神社奥宮の前は人でごった返していたので、裏に回ってコーヒーを沸かして一服する。目の前には穂高連峰が広がっている。その後ろに蝶ヶ岳と常念岳も顔を覗かせている。今までの経験で、穂高の展望台としては焼岳と笠ヶ岳が双璧を為していると思うのだが、ここも第一級の展望台である。3000mだというのに風もなく、太陽がぽかぽかと照り、本当に穏やかな日だ。
 帰りはもっと早かった。あちこちで小さな子供がぐずって親を困らせていた。母親に悪態をついている小学生もいる。こればっかりは誰も助けてくれない。一歩一歩足を運ばなければならない地道な努力があるのみである。
 車の列はまだ続いていた。僕の直前にいたワゴン車がまだ並んでいたのには思わず笑ってしまった。かなりの間隔があって、渋滞は解消したのかと思っていると、先頭の車の運転手がぐっすり寝ていたりする。行楽には忍耐と疲労が必要のようである。