猿ヶ山  (1447.8m) 富山県

                        平成23年11月5日(土)曇り

  ブナオ峠(6:30)→大きな杉(7:20)→猿ヶ山(8:30〜35)→大きな杉
  (9:30)→遭難碑(9:40)→ブナオ峠(10:10)

 登山口が同じなので、ブナオ峠で車中泊する。誰もいない山の中で泊まるのは若干怖い気もするが、慣れている。明け方外に出てみると満点の星。これだけの数の星は山の中でないと見ることはできない。山の中だからか、曇り空だからなのか(おそらくその両方だろうが)なかなか回りが明るくならない。最初の車がやってきたのでこちらも準備にかかる。
 一番乗りの人は単身大門岳の方へ入っていった。僕は反対側のブナの林の中の登山道に入っていく。もみじだけがまだ紅葉をつけており、赤やだいだいの色彩を放ちながら風に踊っている。林の間から昨日登った大門岳が見えている。大獅子山(おおじしやま)をトラバースしながら道が続いているが、下が急斜面の危険な箇所もある。やがて左下に小さな池が見えてくる。落ち葉におおわれてあまり美しく感じない。大獅子山への登山道と遭難碑はのぼりの場合は死角になっていて気づかなかった。
 道は尾根道になっていくが、朝露で草や葉がぬれているのとぬかるんでいる箇所が多く歩きにくかった。道はネマガリダケの林の中に入っていく。腕や肩に水滴がつき、だんだん濡れてきて冷たい。当然足が速くなるが、勾配がきつくないのでありがたい。見晴らしのよいところに出ると、大門岳から奈良岳までの山並みや白山までよく見えている。その左手には別山や三の峰まで懐かしい山容を見せている。
 頂上と思われる峰に三回だまされてようやく小さな広場に着く。周りがまったく見えない何の変哲もない場所だ。大門岳から眺めていたときはあまり高い木が生えていないアルペン的な山に見えたが、実際は全山高い木でおおわれている山であった。
 かなりぬれたので長袖をもう一枚着て下山する。もみじの赤がやっぱり目に付く。あまりに鮮やかなので何回かビデオに撮る。登るとき気がつかなかった青木兄弟の遭難碑に立ち止まる。昭和30年5月と書いてある。「兄弟で山に入り迷ってしまったのだろうか」と想像をめぐらす。下のブナ林まで来ると、すずめより少し小さい鳥が、何十羽となく枝から枝えと飛び回っていた。近づいてもあまり逃げようとはしない。やがてこれが見納めとばかり大門岳の堂々とした姿が林の間から見えてきた。