No.80       後方羊蹄山(1898m)

               平成13年8月12日(日)    晴れ
 
  倶知安登山口(7:30) → 2合目(8:20) → 4合目(8:55〜9:00) → 
  6合目(9:55〜10:05) → 7合目(10:35〜40) → 8合目
  (11:05〜10) → 9合目(11:25〜30) → 頂上(12:25〜13:15) 
  → 8合目(14:250) → 7合目(14:45) → 6合目(15:05〜10) → 
  4合目(15:55〜16:00) → 2合目(16:30) → 登山口(17:05)

 前日支笏湖の湖畔で寝たが、夜中に若者が花火をしにやってきた。夢うつつの中で、若者の騒ぐ声と花火の音を聞いて入た。それは紛れもない現実であったと思うのだが、花火が見えたのはまぼろしであった。
 登山口までの細い曲がりくねった道で事故があり、警察が現場検証をしていた。登山口で事故を起こしてしまっては、楽しい山も台無しであると気を引き締めた。
 単調な山歩きである。樹林帯の中をただひたすら歩く。立ち止まると風が木々に渡る音と鳥の鳴き声が静寂を破る。頭上をおおう木はだんだん低くなり、たまに下界の景色を見せてくれる。いくつものスキー場を持ったニセコアンヌプリが見える。「まずはあの山の高さまで登らなければ」と思う。倶知安の町の先に日本海も見え出した。
 6合目あたりからガクンとスピードが遅くなり、疲れも出てきた。4日連続でしかもトムラウシの後とあっては無理もないことかもしれない。しかし疲れもあったかもしれないが、周りの景色が全然見えず、ただ足元だけを見ながら黙々と歩かなければならないことにもその原因があるのではないかと思った。そこからは1合目ずつ休憩をとることにした。
 9合目から視界をさえぎるものが何も無くなってきた。高山植物も現れだし、ホッとした気分になる。ザレ場のクレーター(母釜)の淵を時計回りに歩き、岩場の道を進んで行くと待望の頂上に出た。碁盤の目のようになった畑とその向こうに続く山並みがどこまでも見渡せた。眼下には洞爺湖や有珠山、昭和新山などが見える。有珠山からはもくもくと噴煙が上がっている。左に目を転じると日高の山々や大雪山系まで見える。頂上にいた女性の「私は4回この山に来ていますが、こんなによく見える日は初めてです。今日登ってこられた方は運がいいですよ」と言う言葉を聞いて、頑張って今日登ってきて本当によかったと思った。
 振り返ると、大火口である大きな父釜(周囲2q、火口床と火口縁との標高差は200mもあるという)、その向こうにはなだらかな丘のような緑の山が見える。変化に富んだ想像以上に広い頂上部である。
 帰り、水がなくなって脱水症状を起こしたのか、女の人が動けなくなっていた。旦那さんは水を取りに下山したが、キャンプ場は断水していて水などどこにも無い。ちょうど僕はポリタンにたくさん水を持っていたので分けてあげた。ペットボトルに詰め込むと走って山に戻って行った。奥さんが無事下山できる事を祈った。
 この山はどこからもよく見えるし、どこから見ても変わらず堂々としている。しかし、この日山麓から見た夕陽に赤く映える姿はとても印象的なものであった。