No.53            祖母山(1756m)

               
平成12年3月20日(月) 快晴   

  尾平登山口(6:45) →つり橋(6:55) → 尾根取付(7:35) → 2合目
  (7:50〜8:30) → 4合目(8:20) → 宮原(6合目)(9:00〜05) → 
  馬の背(9:40) → 祖母山9合目小屋(9:50) → 祖母山(10:10〜25) 
  → 祖母山9合目小屋(10:45) → 馬の背(10:50) → 宮原(6合目)
  (11:20) → 2合目(12:10〜15)  → 尾根取付(12:30) → つり橋
  (13:00) → 尾平登山口(13:10)
  昨日泊まった「高千穂荘」は国民宿舎であるがホテル並の施設をそなえ、料理は高級旅館並であった。これでは普通の旅館は太刀打ちできないと思った。
 朝5時半に宿を出て、天の岩戸を通って山道に入る。初めて通る細い九十九折りの山道はとても不安を感じたが、無事尾平の登山口に着く事ができた。
 尾平登山口からつり橋に向かう道から早くも目標の祖母山が姿を現してきた。それは岩峰が連なる厳しいピークの連続の右端に見え、はるかはる か彼方であった。そして上部は冠雪しているように真っ白であった。
 その白が何なのか深く考えなかったが、宮原を越える辺りから始まり出した樹氷であった。桜の花道のように氷の花が咲いていた。僕らは「ワァーッ、ワァーッ」と感嘆の声をあげる他はなかった。
 馬の背に来ると、樹氷が風にひらひら舞い、雪の中を歩いているようだった。そして風に吹かれた樹氷は太陽の光にキラキラ輝き、どこまでも流れて言った。
 祖母山9合目小屋の主人は話好きであった。人と話す事に飢えているようだった。「福井から来た」と言っているのに東北の山を挙げるので、「この人は、福島県と間違っているんだ」と思った。「昨日は東京から団体が来たが、半分くらいの人が頂上を踏めませんでしたよ」と言う言葉の意味が解ったのはしばらくしてからであった。
 9合目を過ぎると急斜面が始まり、山道の雪がカチカチに固まり、それが氷のようにツルツルになっているのだ。アイゼンの必要性を初めて感じた。端の木につかまり、何度も尻餅をつきながらようやく頂上につくと、そこは360度の大展望であった。北には九重、、西には阿蘇、そして南には県境の山々が望め飽きる事が無かった。
 帰りはもっと大変だと覚悟をしていたが、新雪の上を歩いて下りたら何の事は無かった。 車で高千穂に戻る途中、トンネル手前の最後の曲がり角で車を止めてもう一度祖母山を見た。なるほどりっぱな山容であるが、二度と見る事ができないのではないかとふと思った。