海外トレッキング日記  スイス  2009年

 7月15日(水)
曇り時々晴れ
 Wさんと計画し後にM先生も加わり、ニューランドのルートバーントラック以来の3人による海外トレッキングの旅である。
 課外授業を3時間やって家で待っていると、5時頃Wさんが奥さんの運転で迎えに来てくれた。福井駅でM先生夫妻とお会いする。17時42分発の「サンダーバード」で関空に向かう。時間があったので「スタバ」で一服して、いよいよエミレーツ航空で離陸する。
7月16日(木)
晴れ


 ツェルマット
 現地時間の早朝4時にドバイに着く。トランジットに4時間ほどあり、この時間が退屈で長く感じた。それに冷房がガンガン効いていて寒かった。外はきっととてつもなく暑いはずなのに、空港にいてはそれを全く感じることができない。
 定刻を30分ほど遅れてスイスに向かって離陸。映画を2本見てそれほど退屈はしなかったが、やはり寒くてジャンパーなどをしっかり着こんだ。
 4時頃チューリッヒ空港に到着。あらかじめ調べておいた4時40分発の電車に間に合うか心配だったが、出発の5分前に飛び乗ることができた。ちなみにスイスの列車の時間乗り換えの駅などは、日本にいながらインターネットですべて調べることができた。スピーツで1回乗り換えて18時14分予定通りツェルマットに到着することができた。
 スーツケースをゴロゴロ引いて街の中心にあるホテルにチェックインする。しかし案内された部屋はダブルルームだったので変更してもらった。今度はシングルベットが3つある大きな部屋だったが古くて歩くと床がきしんだ。
 8時頃夕食を食べに街に出る。何を食べようかさんざん迷った挙句、イタリアンにした。とてもおいしく、満足するものだった。街の外れからマッターホルンを初めて目にした。僕は初めてではなかったが、やはり感動的な出会いだった。10時近くになってやっと暗くなる。
7月17日(金)
曇り一時雨

 ツェルマット
 ゴルナーグラート(9:40)→リュッフェルゼー(9:20〜25)→ローテンボーデン
 (11:20)
 7時朝食。いわゆるコールド・ブレックファーストというやつで、いろいろな種類のパンとハムや果物が出るが、卵料理などの暖かいものは出ない。それでも朝食付きはありがたい。
 8時にホテルを出て、駅前のスーパーで飲み物と昼食用のサンドイッチなどを買い、ゴルナーグラード鉄道に乗る。これは1898年(明治31年)に完成したアプト式の登山鉄道である。電車はゆっくりであるが確実に高度をあげていき、ツェルマットの街が遠ざかっていく。残念ながらマッターホルンは雲の中である。それにしても日本人が多い(自分も日本人であるが)。おそらく、8割以上が日本人だと思われる。「アルプスの3大名峰を巡る旅」などの名前でモンブラン、マッターホルン、ユングフラウを巡るのが日本人の決まったコースになってしまい、これらの山を外すわけにはいかないのだろう。
 約40分かけて電車は終点のゴルナーグラートに到着した。駅前からの大パノラマを見て、最高地点の展望台まで歩く。ヨーロッパ・アルプス第2の高さを誇るモンテローザを始めとするヴァリス・アルプスの名峰が眼前に広がっている。しかしマッターホルンは相変わらず雲の中だ。
風が強く寒かったので早々に切り上げて歩き始める。今日はリュッフェルアルプ駅まで歩く予定だ。ゆっくり歩く。風が強いので高山植物も風にふるえている。40分でリュッフェルゼーに着く。この湖は「逆さマッターホルン」で有名であるが、今日はその姿を写してはくれない。
  リュッフェルゼーを過ぎたあたりから雨が降ってきたので雨具をつける。霧であたりは真っ白なので少し戻ってローテンボーデン駅から戻ることにした。切符を買うとき無意識のうちにツェルマットと言うところをゴルナーグラートと言ってしまった。ツェルマット行きの電車に乗ろうとして駅員に注意されて初めて気がついた。かまわずその電車に乗って、ツェルマットの駅で精算することができた。
 ところで僕の愛用の2980円のトレッキングシューズはとうとう靴底がはがれてきて使い物にならなくなってきた。そこで自分へのおみやげもかねて1足買うことにした。さすがに登山用品店は多いが、値段が高い。たいていの店では片足だけ外に出してあり、片足は店の中にある。なるほどこれでは万引きもできない。あちこち回ったが、結局ホテルの隣の店で買うことになった。
 7月18日(土)
 
雪のち晴れ

 ツェルマット
 
 リュッフェルアルプ(8:45)→グリュンゼー(9:35〜45)→グリンジゼー
 (10:40〜45)→スネガ・パラダイス(12:00〜40)→トゥフルテン
 (13:10)→ツェルマット(14:40)
 朝起きて山を見ると雪で真っ白になっていた。雨が山の上部では雪に変わっていたのだ。昨日とまったく同じ電車でリュッフェルアルプ駅まで行く。今回スイスカードを購入したが、スイスカードを持っていれば入国の日と出国の日は無料、その間の日は半額になる。登山電車、ケーブルカー、ロープーウェー、リフトなどあらゆるものが半額になるので、これはお買い得である。
 ちょうどリュッフェルアルプ駅あたりから上が白くなっている。雪の中、雨具を付けて出発する。季節は本当に夏なのか一瞬わからなくなる。樹林帯の幅の広い気持ちのいい道である。対岸のスネガの駅やフィンデルンの集落がよく見える。道は馬蹄形のようになっており目標がはっきりしているが、あそこまで歩かなければならないと思うとちょっとため息が出る。羊が雪の中でふるえているように見える。
 グリュンゼーが近づいてくると左手に大きなレストランが見えてくる。どうしてこんなへんぴなところに、と思うが、スキーの季節はよく利用されるのだろう。レストランから出てきた重装備の一団が、我々の道を横切って直登していった。どこの山に登るのだろう。グリュンゼーも雪の中で寒々としていた。
 道は下り坂になり、広い車道に出てしばらく行くとグリンジゼーがある。ここは周りの木々や山が水に映り神秘的な雰囲気を醸し出していた。そこからの道は足を踏み外せばどこまでも落ちてしまいそうな絶壁に作られていた。お花畑に囲まれこのコース随一の絶景ポイントである。前方にマッターホルンが見えれば最高なのだが、残念ながら今日は半分ほど下部が見えるだけである。対岸に目をやればゴルナーグラートの展望台もよく見える。
 ちょうど12時にスネガ・パラダイスに着く。やたらパラダイスがつくようになったのはいつからだろうか。レストランでスパゲッティを食べて、ツェルマットに向けて車道を歩き始める。嘘のように太陽が輝きだし、今度は暑い。30分ほどでトゥフルテンの村に着く。この集落越しに見るマッターホルンもよく絵はがきやパンフレットに使われている。途中から車道から山道に入り、ツェルマットの町に戻ってきた。長いが、充実したトレッキングだった。
 街に戻ると山羊の群れが大移動していた。前半分が黒で、後ろ半分が白の珍しいツートンカラーの山羊だった。観光客がえさをやると動かず、小学生くらいの牧童が棒で前に進ませている。
 7月19日(日)
 
晴れ

 ツェルマット
 ロートホルン・パラダイス(9:40)→オーバーロートホルン
 (11:40〜12:10)→トゥフルテンへの分岐(13:15)
 →トゥフルテン(15:25)→スネガ・パラダイス(16:00)
 いつものように8時出発。スーパーは日曜日で午後2時からしか開かないので、パン屋で昼食と飲み物を買う。ツェルマットからスネガ・パラダイスまでは地下ケーブルカーで上がる。思った以上に早いスピードだ。そこからテレキャビンとロープーウェーに乗り継いでロートホルン・パラダイス行く。そこはもう3000mの世界である。
 神は最後の日にすばらしい贈り物をしてくれた。到着した日以外は姿を隠していたマッターホルンが、今日は青空の中に輝いていたのだ。ロートホルン・パラダイスのテラスからは神々しいマッターホルンとその左手に続くヴァリスの白い山々、眼下には昨日歩いたコースとグリュンゼーやグリンジゼーが見えた。そして振り向けばオーバーロートホルンの堂々とした山容が目の前に迫っていた。
 雪を踏みながら歩き始める。いったん下ると雪のない山道が山腹を巻くように続いている。高度を上げるにつれてまた雪道に変わる。足を踏み外せばどこまでも落ちていきそうな場所もあり、慎重に歩く。帰りの方が危険かもしれない。道は後方に回り込むようになっていて山頂に近づくと瓦礫のジグザグ道になる。空気が薄くなってきたせいか息切れがする。
 それほど長い時間歩いたわけではないが、頂上に到着したときは大感激で、思わす「バンザイ」と叫んでしまう。目の前に迫るミシャベル山群、その左に続くマッターホルンを始めとするヴァリス山群など360度の大パノラマである。
 帰りは雪もゆるんでいて危険なので、M先生を間に挟んで慎重に降りた。ロートホルン・パラダイスの近くで右に折れてトゥフルテンへの道に入る。広くなだらかで快適な道だ。正面に三角形のヴァイスホルンが見えている。この道は高山植物が多いことで有名である。斜面一杯に高山植物が咲き乱れている。名前の知らない花がほとんどだ。エーデルワイスもあるはずだがなかなか見つからない。そこで植物に詳しそうな青年に「見つけたら教えて」と頼むとすぐ知らせてくれた。不思議なもので一度目にすると次から次へと現れて、珍しくもなくなってしまった。先の青年が「この花は10年前に一度見てから見たことがない珍しい花だ」と、たった一輪咲いているピンクの小さな花を興奮気味に教えてくれた。僕らも感激して見ていたが、少し先にはその花の群落があったのには拍子抜けであった。花越しに見るマッターホルンもすばらしく、やがて到着したトゥフルテンの集落越しに見るマッターホルンもすばらしかった。
 トゥフルテンからは昨日歩いた道をたどってスネガ・パラダイスまで歩き、地下ケーブルでツェルマットに戻った。街の広場では高校生の大編成のバンドが演奏していた。演奏と言ってもボーカルが主体となっていてプロ並みの歌唱力だと思った。合間に入れるダンスやかけ声なんかもかっこよく、とても高校生のバンドとは思えなかった。空を見上げれば悠々とハングライダーが飛んでいた。
 7月20日(月)
晴れ

グリンデル
ワルト

 フィルスト(13:15)→バッハアルプゼー(14:15〜40)
 →フィルスト(15:30)
 8時39分発の電車で、ヴィスプ、シュピーツ、インターラーケン(オスト)と3回乗り換えてグリンデルワルトに到着する。その際ライゼゲペックという荷物の別送システムを利用した。その日に着くファーストバゲージサービスでは荷物1個25kgまで、料金は20フランである。11時半ごろグリンデルワルトに到着してチェックインには早すぎたし、ホームからホームまでの距離がかなりあり、何回も乗り換えなければならなかったので、お金に換えられないありがたさがあった。
 フィルスト行きのテレキャビンの駅に行く途中あるレストランでターゲスヒット(おまかせりランチのようなもの)を食べる。少し飢えていた生野菜とキノコのスープがとてもおいしかった。それに「ノープロブレム」を連発して気さくに世話をしてくれたおばさんがとても気に入ってしまった。
 フィルストは前回スイスにやってきた時最初に訪れた場所なのでとてもなつかしかった。牧草地と木のない草原の山はツェルマットとは一風変わった景色だ。花畑のスケールも大きい。黄色い花が見渡す限り咲いていた。ほぼ平坦な広い道なので軽装の観光客も多い。1時間ほど歩けばバッハアルプゼーである。4つの湖から成り立っているそうだが、見えるのは2つである。シュレックホルンを映すバッハアルプゼーは見所の一つであるが、今日は風が強くさざ波が立って山々を映してはくれない。
 4時頃グリンデルワルトの街に降りて、預けた荷物を受け取り駅近くのホテルにチェックインする。
 7月21日(火)
晴れ


グリンデル
ワルト
 アイガーグレッチャー(13:35)→クライネ・シャイッデック
(13:20) 
 8時17分の登山電車でスイス観光のハイライトであるユングフラウヨッホへ向かう。この値段の高い路線がスイスカードで半額になるのはうれしい。グライネ・シャイディックまでは左手にアイガーの絶壁、右手にしゃれた家々が点在する緑の牧場が続く。
 グライネ・シャイディックでユングフラウ鉄道に乗り換える。アイガー氷河の目の前にあるアイガーグレッチャー駅を過ぎればあとはアイガーとメンヒの山中に掘られたトンネルの中である。途中に停車は2回ある。一つめはアイガー北壁のど真ん中にあり、窓からグリンデルワルトの街と垂直の壁が見え、二つめの駅からはフィッシャー氷河が見られる。
 ユングフラウヨッホはさすがに観光客でごった返している。まず高度感たっぷりの「スフィンクス・テラス」と呼ばれる展望台からまわりの雪景色を楽しみ、それから雪原に出てみた。しばらく雪の上を歩くと冬山に登っている錯覚を覚えた。アイゼンにザイルを持った登山家はあこがれの的だ。途中で引き返し「氷の宮殿」へ行く。青く輝く氷の部屋にいくつもの氷像が作られている。その後「プラトー」と呼ばれる展望台に登ると、周りの山々が迫りアレッチ氷河の白い帯がどこまでも続いていた
 12時の電車に乗りアイガーグレッチャー駅で降りる。駅に隣接したレストランで昼食。テラスから迫力あるアイガー氷河が目の前に見える最高のロケーションにあるレストランだ。アイガー氷河を間近に見てから、グライネ・シャイディックに向かって歩き始める。花に囲まれた下り一辺倒の快適な道だ。花の多さではバッハアウプゼーに続く道よりも上かもしれない。グライネ・シャイディックに近づくと、ベルナー・オーバーラント3山(アイガー、メンヒ、ユングフラウ)がお花畑の上に見えた。ユングフラウヨッホの展望台も肉眼で見える。
 夕食は昨日の昼食を食べたところへ行った。なんかとてもリラックスできる雰囲気があるのだ。
 7月22日(水)  一時雨のち晴れ

 グリンデル
ワルト

 
 メンリッヘン(9:05)→クライネ・シャイディック
 (10:50〜11:00)→アルピグレン(13:05)
 昨日と同じ時刻の電車でグリンデルワルトからひと駅のグルントへ行く。電車はここから方向を変えてクライネ・シャイディックまで登っていく。グルントからヨーロッパで一番長いと言われるテレキャビンに乗ってメンリッヘンまで40分かけていく。テレキャビンの中からは眼下に広がる牧草地帯とグリンデルワルトの街。高度を上げるにつれてベルナー・オーバーラント3山が姿を現してくる。
 標高2225mにメンリッヘンの駅がある。駅の裏側からも堂々としたベルナー・オーバーラント3山が姿を見せ、右手の方には山岳ホテルがある。案内に沿って広い道を歩き始める。アップダウンもほとんどなく、道はゆっくり下っていく。そのせいか歩いている人はファミリーや年寄りの人が目立つ。途中で雨が降ってきたので雨具をつけて避難小屋に入ると日本人の中高年の団体であふれていた。そのかしましいこと。
 賑やかなガウベルの音が響きだすと、何頭もの牛が道をふさいでいる。図体が大きいので圧倒されるが、人に危害を与えることはない。じっと見ているとその草を食べるスピードが速く迫力がある。そして高山植物も草も区別なく食べてしまう。
 アイガーが一段と近づいてくるとホテルやレストランがあるクライネ・シャイディックが見えてくる。電車が出入りし、観光客が多く喧騒に満ちている。昨日下車したアイガーグレッチャー駅まで行けば「アイガー・トレイル」を歩くことができるが、今回は牧草地の中の広い道をのんびり下ることにした。右側には常にアイガーが迫っている。自転車をこいで登ってくる夫婦がいたのでビデオを回していると、われわれの前に止まって気軽に話しかけてきた。動力つきの自転車で、日本には見かけないタイプのものだった。
 アイガー北壁を見上げながら昼食。ユングフラウヨッホに行くときに覗いた窓がこちらからも見えるはずだと双眼鏡で探す。注意して探すと見つかった。窓枠まで見える。周りの壁と区別がつきにくいので肉眼ではなかなか探せないだろう。
 アルピグレン駅から登山電車に乗ってグリンデルワルトに戻った。夕方ホテルの前で民族衣装を着た20人くらいの男女がヨーデルのコンサートをやっていた。見かけによらず(失礼!)いい声で、思わず聞き入ってしまった。ビデオにとって、後でバックミュージックとして流したらとてもいい感じになった。
 7月23日(金)
晴れのち曇り

 
インターラーケン
 シーニゲ・プラッテ駅(11:15)→フィルストへの分岐
 (12:00〜12:1)→シーニゲ・プラッテ駅(13:55)
 グリンデルワルト発8時19分の電車でインターラーケン・ヴェスト駅へ行き、予約してある駅前のホテルに荷物を預ける。チェックインもしていないのに宿泊者用のバスの無料パスを発行してくれて大感激。
 路線バスでヴィルダースヴィルまで行く。20分ぐらいの乗車であったが地元の人たちの乗り降りが激しく、それらの人を見ているのも楽しかった。ヴィルダースヴィルから登山電車でシーニゲ・プラッテに行く。シーニゲ・プラッテは標高2000mくらいの高台にあってベルナー・オーバーラント3山やトゥーン湖とブリエンツ湖を眺めることができ、花も多いので観光客の人気スポットである。
 電車を降りるとベルナー・オーバーラント3山が目に飛び込んでくる。今まで様々な角度から見てきたが、全体像がつかめるここからの眺めも格別である。さっそくパノラマコースを右回りに歩くことにする。牧場の中ののどかな道だ。時々現れるアルペン・ローゼのピンクが印象的だ。パノラマコースの折り返し地点で昼食。さすがにここまで来る人は少なく、あたりは静寂に満ちている。この道を真っすぐ行けば、グリンデル・ワルトに到着した日に行ったフィルストまで行けるが、かなりハードな道である。
 鉄の階段を上ってしばらく行くと道は崖に沿っており、眼下にブリエンツ湖が見えてくる。前方には特徴ある形をしたオーバーべルクホルンの岩峰が見えている。最後の急登を登った所にあるシーニゲ・プラッテの山頂展望台からは、トゥーン湖とブリエンツ湖そしてその間にあるインターラーケンの街並みが見渡せた。しばらく見ていると鳥になったような感じがしてきた。
 駅に戻ってホテルのテラスでコーヒータイム。ベルナー・オーバーラント3山が見渡せる最高のロケーションにあるが、今日は風が強くのんびりしていることはできなかった。
 4時頃インターラーケンに戻ってきた。M先生のホテルは後で申し込んだ関係で僕らと違うホテルになってしまったので、ホテルを探してチェックインするのを手伝った。夜になると久しぶりに雨になった。          
 7月24日(土)
 晴れ

インターラーケン 
 山頂駅(12:00)→ブリエンツァー・ロートホルン(12:10〜12:20)→プランアアルプ駅(15:00)
 バスでインターラーケン・オスト駅へ行き、駅前のスーパーで昼食を買う。ここのスーパーは今まで見た中で一番規模の大きいものだった。駅の地下道をくぐって船の乗り場に行く。ブリエンツまで約1時間20分の船旅である。太陽を背にすると、ブリエンツ湖の青と周りの緑の山々と牧場、そして白地に赤のスイス国旗がすばらしく映えて見える。前方を見ると、これから訪れるブリエンツァー・ロートホルンが雲の上にとても高く見える。
 ブリエンツに到着すると、小さな蒸気機関車が独特の音をたてて待っている。天井まで透明ガラスになっている赤い客車を、蒸気機関車が後ろから一生懸命押している。SLは住宅地と林を抜けていくともうさえぎるものがない。緑の牧草地の中をゆっくり力強く登っていく。時々ハイカーが手を振ってくれる。一方、高度があがるにつれて、眼下のブリエンツ湖はだんだん遠ざかっていく。
 山頂駅は機関車がブリエンツ湖まで転げ落ちてしまいそうな絶壁の上にある。10分ほど歩けば頂上のブリエンツァー・ロートホルンに着く。途中で、スイスで象徴的なアイベックスという角の長い動物を、遠目ではあるが初めて目にすることができた。ブリエンツァー・ロートホルンの標高は2350mほどで、360度の大展望である。
 湖に向かって牧場の中を下山する。高山植物も今が花盛りで、時々牛が行く手の邪魔をする。時々SLが急こう配を登ったり降りたりしている。開放感に胸がわくわくする。先を行っていたハイカーが急に見えなくなったと思ったら、僕らは道を間違えていた。車道を遠回りすることになってしまったが、今日の景色に免じて腹も立たなかった。 
 
プランアアルプ駅に着くと、われわれを待っていたように機関車が出発した。帰りはブリエンツ駅から列車でインターラーケンに戻った。検札に来た車掌は、スイスカードを見せると料金を取らなかった。ひょっとしてスイスパスと間違えていたのかもしれない。
 7月25日(土)
  晴れ

カンデルシュテーク

チューリッヒ
 ロープーウェイ頂上駅(9:40)→エッシネン湖(10:40〜11:10)
 →ロープーウェイ頂上駅(11:40)
 8時24分の電車に乗るつもりで駅に行く。今日はエッシネン湖までのトレッキングを予定しているので荷物を預けようとしたら、切符売り場の女の子は「受付は9時からだ」とそっけない。まだ1時間近くあるので困り果て、「インターラーケン・オスト駅も同じ時間から受付か」と聞いてみたら、「後5分したら受け付けてあげる」と言ってくれた。困っている我々を見かねて特別に受け付けてくれるらしい。これは本当にありがたかった。
 2回乗り換えて、エッシネン湖の入り口駅であるカンデルシュテークに着く。15分ほど歩いてロープーウェイ乗り場に行く。途中にあった礼拝堂は周りの風景と相まってとても素敵な雰囲気を持っていた。昔の案内にはリフトで登ることになっているが、今は最新式の音が静かなロープーウェイに代わっている。頂上駅はレストランにもなっており、青空に赤いスイス国旗がはためいていた。スイスの山岳レストランで国旗が出ていたら営業中である。
 牧場の中の幅の広い道を歩き始める。まもなくやってきた二股では左のコースをとる。林の間に湖が見えてくる。そこから急な山道を少し下っていくと湖畔に達する。山上のエメラルドグリーンの湖は朝の太陽に輝いている。白い氷河を抱いたプリュムリスアルプの山々が湖を囲んでいる。湖畔では若者がバーベキューをしており、水上では水鳥がのんびり泳いでいる。
 カンデルシュテークの街のレストランのテラスで昼食。13時19分の電車でチューリッヒに向かう。駅前の繁華街を少し歩いて、市電でチューリッヒ湖に行く。土曜日とあって湖畔の芝生には家族連れや恋人たちで一杯だった。水着の人も多く、目のやり場に困ってしまった。湖で泳いでいる人もいる。ボートが浮かびのんびりしたムードは都会の湖とは思えない。
 チューリッヒ空港駅で無事荷物を受け取り、22時ドバイに向けて離陸する。
 7月26日(日)
  晴れ


ドバイ
 せっかくドバイ経由の飛行機に乗ったので、ドバイでストップオーバーすることにした。定期観光バスに乗ろうとツアーデスクに行ったのだが、そこの女性が不親切でなかなか話が通じないので、エミレーツ航空の案内所へ行ったら3人のためにバンを出してくれることになった。
 車はまず砂漠を目指した。街の周辺には植物らしきものが生えているが、進むに従って、見渡す限りの赤茶けた砂漠に変わる。道路脇には鉄線が張られているのは、うっかり迷い込まないためだろうか。スーパーのような所と砂漠のバギーカーを乗るところで止まったが、一歩外に出るとサウナ状態で、一気に汗が噴き出す。何でも48℃もあるそうだ。車は街へ向かい、モスクの前で止まったが、他の二人は車から降りようともしなかった。街は建設ラッシュ。建設中の高層ビルが並んでいる。さすがに日中は仕事にならないのか(長い昼休みなのか)歩いている人はほとんど見かけない。
 街の中心部の高層ビルはよく写真で見る風景だ。ジュメイラ・ビーチでは海水浴の人もちらほら。こんなに暑い中での海水浴ってどんな感じなのだろう。左手にある「ジュメイラ・ビーチ・ホテル」という帆の形をしたランドマーク的ホテルを撮ろうと思って車外に出ると、ビデオカメラが一気に結露し始めた。車の中と外の温度差が激しいのだ。
 飛行機は翌日の2時35分発なので、空港では有り余るほどの時間があった。おまけにがんがん冷房を効かしてあるので寒くて仕方がなかった。飛行場にいると外の温度が全く実感できない。
 7月27日(月)
晴れ
 日本に着いたのは夕方ということもあってか、とても涼しく感じた。もっともドバイの焼けるような暑さを体験した後では、日本の暑さなんてかわいいものなのかもしれない。家には10時前に着く。この旅行期間中ほとんど日がささない異常気象だったそうだ。また、トムラウシでは低体温症で8人が亡くなったそうだ。日本の夏はこれからのようだ