富山の山      薬師岳(薬師岳山荘 2700m)  

         2024年8月6〜7日 曇り時々晴れ

  @ 折立(8:30)→三角点(10:20〜30)→五光岩ベンチ(12:30)→太郎平
  (13:45〜14:00)→薬師平(15:20)→薬師岳山荘(16:35)

 
A 薬師岳山荘(5:00)→薬師平(5:45)→太郎平(7:05〜20)→五光岩ベンチ
    (8:15 →三角点(9:35〜45)→折立(11:15)

 
 今年の夏の一番の行事と考えていた山だ。ただ、交通機関で行くのが家族との約束なので、富山で前泊することとなった。折立直通のバスは一日一往復しかないので乗り遅れることはできない。
 平日であったが駐車場は満杯だった。いきなりの階段の急登で息が上がる。V字型に切れ込んだ個所や根が張って歩きにくい所もあり、三角点までは我慢の連続だ。そこを越せば比較的穏やかなアップダウンが続くが、距離の長さに閉口する。コメツツジ、アキノキリンソウ、ツリフネソウ、ミヤマリンドウ、ニッコウキスゲなどの花々に励まされ太郎平小屋が建つ太郎平にたどり着く。
 キャンプ場のある薬師峠までは木道の上をルンルン気分で歩けたが、そこからはゴロゴロとした大きな石が転がる沢沿いの長い道が続き体力を消耗する。薬師平を越せばチングルマやハクサンイチゲの群落が現れる。数は少ないがハクサンフウロやヨツバシオガマなども現れ一気に疲れが吹っ飛ぶ。特にハクサンイチゲは最近目にすることが無かったので感激だった。チングルマはすでに胞子になってしまっているものと今を盛りと咲いているのがあったが、きっと日当たりと残雪の関係だろう。
 途中で何かの鳴き声が聞こえ、動物のものと思っていたらライチョウの親子だった。声を出して親の存在を示しているのだろうか。ライチョウの子は脇目も振らず周りの草を食べ続けていた。
 かなり予想時間をオーバーして新しい薬師岳山荘に到着する。この時点で明日の薬師岳登頂をあきらめる決心をした。なにしろ12時30分発のバスに乗れなかったら家に帰る手段が無くなってしまうのだ。疲れた体に夕食の味噌汁がとてつもなく美味しくて、お替りをしてしまう。
 翌朝、小屋横から水晶岳、鷲羽岳、槍ヶ岳など北アルプスの山々を望むことができて感激だった。薬師岳方面の上空には朝日に照らされた雲がきれいなまだら模様を描いていた。帰りは足も軽やかで荷物の重さも感じない。一瞬頂上に行けたかな、と思ったがそれは未練と言うものだ。チングルマの胞子が朝露に輝いていた。
 三角点をすぎたあたりの山道横で熱心に草を食べている小熊がいた。小熊とは言え、そばを通ることはためらわれ、登りも下りもストップしてしまう。みんなカメラを構える余裕があるのは小熊だからなのか。近くに親熊がいるかも知れないと思うと少し恐怖を感じる。一瞬、こちらをめがけて走ってきたので、あわてて逃げようとして転んでしまった。小熊はあっという間に薮の中に入って行ってしまった。何年も山に登ってきたがこんな体験は初めてだ。
 頂上を踏めなかったのは残念ではあるが、様々な高山植物やライチョウ、小熊にまであえて満足な二日間であった。ちなみに、やっぱり頂上に登っていたら12時30分発のバスに乗れなかっただろう。

      石川・富山