剱岳 (2702m)                                
    平成26年7月28日(月)曇り 〜 29日(火)晴れ
  1日目】馬場島(8:10)→松尾奥ノ平(9:20)→1600m(10:30〜40)
  →三角点(11:35〜55)→早月小屋(13:20)

  【2日目】早月小屋(5:10)→2600m(6:25)→2800m(7:35)→剱岳
  (8:35〜55)→2800m(9:35)→2600m(10:25)→早月小屋
  (11:20〜50)→三角点(12:40)→松尾奥ノ平(14:40〜45)→馬場島(15:25)

 【1日目】大野に住むS先生に迎えに来てもらい5時前に家を出る。いつもの立山ICではなくひとつ先の滑川ICで降りる。途中で砂利道になるところがあるが、山の中を走る区間は少し短縮になるようだ。馬場島に着いて、早月尾根の単口についてビデオにバッテリーがついていないことに気付く。充電していて忘れてしまったのだ。早くも大失態。
 いきなりの階段の急登。覚悟を決めてゆっくり登る。樹齢千年近くあるのではないかと思われる杉の大木に圧倒される。木を横に切って並べただけのベンチがある
松尾(まつお)(おく)()(だいら)は真っ白なガスの中。高度200mごとに標柱があるのである程度の目安となる。道の真ん中に立っている三角点の所で昼食。朝コンビニで買ったおにぎりの賞味期限が朝の8時になっていたのには閉口したが構わず食べる。大日方面が見えるそうだが、やはりガスの中。
 小さな草原や雪を浮かべた池塘では少し息をつくことができたが、とにかく石交じりの急登が続きいい加減足が上がらなくなってきた頃、突然目の前に早月小屋が現れた。案内された大部屋には先客が2人いるだけだった。ビールとジュースで乾杯してお互いの労をねぎらう。そのあとは山雑誌や今度行くヨセミテのDVDなどを見てのんびり過ごす。

【2日目】3時ごろ目を開けると満天の星。寝ながら星を鑑賞できるとは贅沢である。窓から下を見ると上市と思われる街の明かりが、まさに宝石を散りばめたようにきらめいていた。
 美味しい朝食をいただき、5時過ぎいよいよ剱を目指して出発する。天気は最高、いやがうえにも期待で胸が膨らむ。しかし相変わらずの急登。岩壁の前でストックをデポする(これが帰りにちょっとした騒ぎになるのだが)。左手には剱から続く尾根が屏風のように立ち並んでいる。その最後の山が昨年登った赤谷山である。2600mを過ぎると岩稜帯に入り、目の前にあまり見栄えの良くない頂上部が逆光に輝いている。鎖場が数か所あったが、思ったほどの困難さは感じない。
 三点支持で岩を登っていくと別山尾根から登ってきた人と合流し急ににぎやかになる。ヘルメットが推奨されているらしく、普通のおじさんおばさんが真新しいヘルメットをかぶっているがなんとなく様になっていない。昔来た時にあった祠はなくなっていたが、山の名を冠した板が数枚あって、その前でグループの人が写真を撮り合っている。
 快晴、言うことなしの大展望である。右奥に白山、近くには立山の峰々、その奥にカールを抱いた薬師岳、左にどこから見ても見分けがつく笠ヶ岳、意外と近い御岳に乗鞍、槍ヶ岳がアクセントとなっている北アルプスの山々、富士山まで雲から頭を出している。少し左に目を転じると双耳峰の鹿島槍、五竜、白馬岳、奥に朝日岳、そして近くでは毛勝三山と名だたる山のオンパレードである。
 景色を心行くまで堪能し下山にかかる。帰りの岩場の方が危険らしいので、慎重に降りる。途中デポしたストックを探すのだが見当たらない。見落とすことは無いと思うのだが、そうこうしている間に小屋に着いてしまった。ちょっとショックだったけれど、寿命がきたのだとあきらめる以外にない。小屋の日陰で弁当を食べる。とてもくつろげる時間だった。
 小屋からの3時間半はとても長く感じた。息を切らせて大勢の人が登ってくる。今日の小屋はにぎやかだろう。松尾奥ノ平に着くとかなりほっとする。痛む膝を抱えてキャンプ場に着いたときは心からほっとすると同時に、10時間以上を歩いたという満足感でいっぱいだった。