No.70      美ヶ原(王ヶ頭2034m)

                  平成13年5月4日(金)
    晴れ 
   山本小屋(8:50) → 美しの塔(9:05) → 塩くれ場(9:15) → 王ヶ頭
   (9:35〜10:00) → 塩くれ場(10:15) → 美しの塔(10:20) → 
   山本小屋(10:35)   

 美ヶ原は3度目である。1度目はもう30年も前の学生の時である。青木湖にある友達の別荘を拠点に一人であちこち信州を周っていた。晩秋であった。あの時は王ヶ頭(もちろん当時はその名前を知らなかった)から山本小屋まで歩いたが途中で誰にも会わなかった。濃い霧が立ち込めた牧場の中の一本道を、不安な気持ちで道標に従って行った。山本小屋が見えた時は、まるで無事海を渡って対岸に着いたかのように安堵したのを覚えている。
 2回目は家族で霧ケ峰でキャンプをした時で長男が大学1年生、長女と次女は高校生、三女は小学生だった(このHPの霧ケ峰の項を参照してください)。夏だったので牛が放牧されていて、のどかな美ヶ原らしい風景が広がっていた。考えてみれば家族全員での旅行はあれ以来である。
 今回は富山で次女を乗せ、埼玉の長男と松本で待ち合わせをしたが、長男は渋滞に巻き込まれ2時間ほど到着が遅れてしまった。それで、三城から王ヶ頭まで歩くという計画はあきらめざるをえなかった。しかも麓の「三城オートキャンプ場」に着くと一面が銀世界。雪と白樺はそれなりに情緒があって悪くはなかったが、あまりの寒さに不安の方が先に立ってしまった。それでも扉温泉というひなびた温泉の露天風呂に入ったり、、テントの中で暖かいうどんを食べたり、トランプやウノをしたりと楽しい思い出を作ることができた。
 翌日はビーナスライン経由で山本小屋へ。全員で歩く。幅の広い砂利道でしかも傾斜がほとんどないので、みんなのペースが速い。とても山の歩き方ではない。美しの塔までは観光客が多かったが、そこからは静かな道だった。どこまでも続く白い高原の先に電波塔が林立した王ヶ頭が小高い頂上を形成していた。
 王ヶ頭に近づくと北アルプスの山々が雲間に見え出した。みんながホテルで牛乳を飲んだりアイスクリームを食べたりしている間にホテルの裏にある頂上に行ってきた。王ヶ鼻が目の前にある。足元には三城牧場が広がっている。ここから登ってくるのはかなりの急登で大変そうだ。でも道もしっかりついているし下りるのは快適そうであった。ホテルに戻って、「僕だけ歩いて下りるから、みんなは牧場まで車で迎えに来てくれないか」と言ってみたら直ちに却下されてしまった。今日は家族旅行なので勝手な行動はよくないと思い、僕もあっさりあきらめた。
 帰りは子供たちは走り出した。僕もほとんど競歩のように後をついていった。観光客がどんどん増えていた。その中に、登山靴にスパッツそしてステッキを持ち、あきらかに”登山者”といういでたちの中高年が混じっていたが、この山ではなにか場違いに見えてしまった。やはりここはジーパンとスニーカーが似合う所だ。
 キャンプ場に戻って上を見上げると中継塔が立ち並ぶ王ヶ頭が見えた。高速道路からは意外にもつんととんがった王ヶ頭を見ることができた。