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顧客と供給者の関係について
1.顧客と供給者の均衡 《静の世界》
ビジネスでは、その種類規模を問わず「顧客ニーズへの対応」が重要であるといわれています。「お客様第一」、果ては「お客様は神様」と表現されることもあります。最近では、「顧客満足」ということばもよく登場するようになりました。
これを、図で表現すると、おおむね下のようになるかと思います。
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この関係は、有名な静力学の法則(ニュートンの法則)を思い起こさせます。「力のつりあいの法則」というものです。2つの力は、それぞれ向きが反対で大きさは同じ。このとき2つの力は均衡して、系は安定しています。図で表現すると下のようになります。上の図と全く同じですね。
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顧客のニーズに対応できた時にビジネスは成立するという考えは、科学的真実のように見えます。ですからこれだけ広く行き渡っているのでしょう。
付け加えるならば、先ほどの需要と供給の法則もよく考えてみれば需要と供給の均衡を前提としていますね。他のさまざまな経済理論もこの
均衡、つまり静力学をモデルとして構築されています。
2.均衡モデルの限界 《動の世界》
しかし、素直に考えてみてください。次のようなことはないでしょうか。
・顧客のニーズが満たされない限り、取引は成立しない?
→ いつものスーパーへいつもの○○カレーを買いにいったが、あいにく品切れだったので、しかたなく◎◎カレーを買った。ところがこれがとてもおいしかったので、以来◎◎カレーを買っている。
・顧客は最良の選択をする? → 初めてパソコン用年賀状ソフトを買った。店長は熱心に△△ソフトを勧めたが、友人が推薦していた□□ソフトを買った。買ったものの□□ソフトはどうも使い勝手がよくないので、後で△△ソフトも買ってみたところ、価格は同じなのに、△△ソフトの方が、機能が豊富で使いやすかった。
・供給者は顧客ニーズに対応する?@ → 私はパソコン初心者。初めてパソコンを買いに行った。店員にどのようなパソコンがほしいのか、パソコンを何に使おうとしているのか聞かれたが、全くわからない。しかたがないのでキャンペーン商品を買った。
・供給者は顧客ニーズに対応する?A → 初めて自動車を買いに行った。カッコつけるつもりで、営業パースンに「明日納車してくれなければ買わない」といったところ、店員はなぜか静かに去って行ってしまった。
このように、実際にはニーズといっても、顧客が全知全能の神でない限り、すべてを把握して適切なニーズを示すことなどできません。ニーズといっても、はっきりしていないことが多いのです。また、仮に明確なニーズになっていたとしても、あらゆる可能性の中からニーズに対し最良の選択をすることなど不可能です。お客様第一ではあっても、お客様は神様ではありません。顧客もまた人間なのです
供給者も、単に機械的に顧客に言われたことだけをしたいたのでは取引は長続きしません。顧客は常に新しい提案を待っているのです。
それに均衡モデルでは、顧客ニーズへの対応が成立したときは完全な静の世界。絶えず変化してやまない経済のダイナミクスとはまさに逆の空間です。つまり、均衡モデルは、経済の大きなうねりの中の、ある一瞬を表現しているに過ぎないのではないでしょうか。均衡モデルにいる限り、経済の発展はありえません。
こう考えていくと、一見自明のような均衡モデルは、実際の経済活動、つまり日常生活ではあまり当てはまらないようです。生身の人間の行動を強引に物体のつりあいに押し込めようとしているのにどうしても無理があるのではないでしょうか。しかもニュートンの均衡モデル自体、20世紀初頭に登場した相対性理論、量子理論により、限られた条件のときにだけ成立するに過ぎないことがわかっています。経済は、なぜ限定条件でしか成立しない物理法則を普遍モデルとしているのでしょうか。
実際の経済というのは、物質の均衡に示されるような静的なものではなく、もっと動的なものです。生身の人間同士である顧客と供給者が互いにコミュニケーションを取りながら、相互作用により発展していくものです。
そして、顧客と供給者は1対1で向き合っているのではありません。顧客を多くの供給者が取り囲み、それぞれが影響しながら共に生成発展していくダイナミックな世界がぴったり来るように思います。
このような関係を表現してみました。下の、新しい経済モデルの世界へ!をクリックしてみてください。1対1の場合と1対Nの場合があります。現実の世界ではN対Nの関係で動いているのではないでしょうか。
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