インターネット博覧会(インパク)参加パビリオンでした

需要と供給の法則について

経済の話なんて全くわからない、という人も必ず知っている超有名な法則です。

(1)価格が下がると需要は増える。
(2)価格が上がると供給は増える。
(3) (1)と(2)より、需要と供給がバランスしたところで価格が決まる。

というものです。グラフにすると、下のようになります。過去、およびここ1〜2年に発行された文献、いずれも同じように説明してあります。最初の章に「市場経済の根本的な原理」と紹されています。中学校の教科書にも出ているようです。

 でも、冷静に考えてみてください。少しおかしいと思いませんか。


1.需要:価格が下がると需要は増える?
 たとえば、次のようなことがあります。
 ・家庭用のビデオやテレビの価格は、ここ数年で数分の一になりました。しかし、需要はほとんど横ばいです(下図左)。
 ・米の値段は、毎年下がっています。ところが需要は増えるどころか減り続けています(下図中)。
 ・パソコンは発売後3〜4か月で市場価格は半分以下になってしまいます。しかし、需要は完璧になくなります(下図右)。


 もちろん、法則があてはまる場合もあります。
 ・携帯電話は、価格が下がって需要が大きく伸びた。
 ・スーパーの安売り日には売上が伸びる(ことが多いらしい)。

 また、現実には携帯電話は需要が増えたので多くの企業が参入してきて、競争により価格が下がったという方が正しいと思われます。つまり、’需要が増えると価格が下がる’ということになります。

 このように、価格と需要の関係は、種々雑多です。もちろん、その中から本質的な部分を抽出してモデル化することがだいじです。しかしながら、その結果が、’価格が下がると需要は増える’だとは、到底考えられません。これは、One of them にしかすぎないのではないでしょうか。
 法則とか原理というからには、三角形の定理や、運動の法則のようにそれがあまねく成立しなければなりません。にもかかわらず、経済行為の一場面だけをもって「市場経済の根本的な原理」といえるでしょうか。

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2.供給:価格が上がると供給は増える?
 反対のことが圧倒的に多いのではないでしょうか。
 ・スーパーやホームセンターは、価格を下げて利益率が落ちた分を、販売数の増加でカバーしている。おなじみの薄利多売です(下図)。
 ・メーカーも同じく、価格低下分を生産増で補っている(同)。

 法則があてはまるケースを考えてみると
 ・悪徳業者が売り惜しみをしておいて、価格が上がったのを見て放出した。
 といったときでしょうか。

 こう見てみると、この法則が成立するのは、市場経済が正しく機能していないときと考えられます。
 
  この部分についての経済理論にもう少し立ち入った内容がここをクリックすると出てきます。しかし、飛ばしても全体の理解には影響ありません

 ’需要と供給の法則’は、農業が産業の中心で、製造業、サービス業が未発達で市場経済も未成熟だった19世紀以前には、説得力がある原理だったかもしれません。
 かつては供給(農作物の収穫量)は、気象条件など人間が制御できない要素で決まってしまいました。また、不足した物資をとなり町や隣国から取り寄せるということもなかなかできませんでした。

 しかし、これを21世紀の今、グローバル競争の中でIT革命をめざすわが国が「市場経済の根本的な原理」としておくのは、いかがなものでしょうか。
 21世紀の今、製品やサービスの供給は、ITを駆使して需要に合わせてリアルタイムにコントロールされています。今どき’需要と供給の法則'が成立しているのは、人気コンサートでのダフ屋ぐらいでしょう。ダフ屋を経済の基本として広く一般国民に紹介し続ける根拠がいったいどこにあるのでしょうか。
 いくらIT技術の普及に力をいれても、そこでめざす姿を広く正しく国民に示し同意を得た上で推進しなければ、徒労に終わってしまいます。

3 情報での需要と供給の関係は
 ここまで、これまでの’需要と供給の法則’のしきたりに従って、財やサービスについてだけ考えてきました。
 しかし、経済活動は財やサービスだけではありません。今後それ以上に重要になってくるのが情報の経済活動です。
 '需要と救急の法則では全く触れていません。これでは、21世紀の経済は論じられませんよね。

 それでは、情報の経済活動について少し見てみましょう。最も身近でわかりやすい例として、音楽や文字・映像を考えて見ることにします。「情報とは」といったことも整理しておきたいところです。しかし。まずは'需要と供給の法則’の検証を先にしてしまいましょう。

 結論を先にいうと、情報では需要=供給です。
 音楽や文字・映像はそれぞれCDや本・ビデオなどに記録されて販売されています。そしてCDメディアや紙・ビデオテープには需要に応じていくらでもコピー、印刷できます。供給は制約を受けない、と考えるのが理解しやすいです。
 もっとわかりやすいのが、ブロードバンドの急速な進展で2010年には確実に実現されているであろう映像コンテンツを含むネット上からのダウンロードです。CDや本それ自体はモノですから、流通や販売の物理的な装置が必要でした。しかし、ネットの世界では、単に欲しいときに欲しいデータ、情報をダウンロードするだけ。作成者から直接最終消費者に渡されます。しかも常に、リアルタイムで需要=供給です。

 このようにモノのことしか考えていない'需要と供給の法則'を、情報の経済活動が大きな比重を占めるようになってきた現代も後生大事に守っておいて、これからの経済を論じるなんて何ともばかばかしいことだとは思いませんか。

4.グラフの縦軸と横軸の使い方が逆
 すでにお気づきと思います。’需要と供給の法則’を説明するグラフ、縦軸と横軸の使い方が通常とは逆になっています。どの文献も同じです。
普通、2つの変数の関係グラフを作るときは、
 ・横軸に元の変数
 ・縦軸に結果の変数
を取ります。
 たとえば、下の’ばねにつけたおもりの重さと、ばねの伸び’に関する2つのグラフを見ればどちらが正しいか、かんたんに理解できると思います。

’需要と供給の法則’は、”価格が上がると、下がると”といっているのですから、価格は横軸に取らなければなりません。ところが、なぜか縦軸にとってあります。特に逆にしなければならない理由があるとは思えませんし、どこにも逆にした理由は説明されていません。
 モデルの理解に直接関係はないものの、一般向けの基本原理の説明としては適切とはいえないように思います。


 もちろん、専門家は現代、および将来に対応したモデルを研究してくださっています。特に、最近の複雑系科学、認知科学の成果を取り入れたモデルにはおおいに注目していいと思います。
 しかし、その一方、専門家以外は、当分前世紀、いや前々世紀のモデルに頼っていなければならないというのはおかしいです。また、経済という日常生活のモデル化に素人が口出ししてはいけないという法もありません。むしろ、ネット上で多くの人が意見を出し合って、ほんとうに現実に即したモデルを構築することが重要なのではないでしょうか。当然、本ページの目的は現行モデルの批判ではなく、新モデル構築の提案です。
 
あなたも、新経済モデル構築に参加しませんか。

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