KenYaoの週刊スクラップ



週刊スクラップ(1998年冬版)

新聞などの報道から、生命・宇宙に関する記事の気まぐれスクラップです。


◆1998/3/22版

  • 生まれたての褐色わい星
    3月16日東京で始まった日本天文学会で、国立天文台などの観測グループは分子の雲の中で生まれたばかりの褐色わい星をとらえることに成功したと発表。
    褐色わい星は恒星と惑星の中間質量を持つ天体で、生まれたての褐色わい星はこれまで暗すぎて観測できかった。星の誕生過程や、宇宙の質量の問題解明に成果が期待される。(福井新聞3/17)

◆1998/3/15版

  • 2028年、小惑星が地球に衝突か?
    3月11日全米天文学協会の研究者らは、「昨年12月6日に米アリゾナ大が発見した小惑星(1997xf11)が2028年に地球と月の間の軌道を通過する。小惑星が地球に衝突する可能性は少ないが、理論的にゼロではないとして警戒をしている。」と発表した。
    この小惑星は現在の観測では直径1.6km以上で、地球に接近した小惑星としては近代最大の規模である。約6500万年前地球に衝突し、恐竜絶滅の引き金になったといわれる小惑星は直径9〜16km規模のものであった。(福井新聞3/13)
    その後の調査で小惑星1997xf11の軌道が再計算され、最接近時の距離は地球から約90万kmで(地球から月までの距離38万kmの2倍)地球衝突の可能性はなくなったとのこと。

  • 明日香村キトラ古墳天井画に星座
    3月8日、奈良県明日香村キトラ古墳で行われているファイバースコープによる内部調査で石室の天井に星宿(星座)図に、北斗7星・オリオン座・サソリ座など主要な星座と、赤道・黄道が描かれていると同志社大学・宮島助教授が発表した。
    正確な主要星座と赤道・黄道が描かれた現存資料としては東アジアで最古のもので、当時の日本が中国の高度な天文知識を受け入れていたことを知る貴重な資料という。(福井新聞3/10)

◆1998/3/8版

  • 月に氷の存在
    3月5日、米航空宇宙局(NASA)は1月6日に打ち上げた月探査機ルナプロスペクターが月の南極北極付近に氷が存在する証拠をつかんだと発表した。
    ルナプロスペクターは月の上空約100kmを周回しながら観測を行い、氷の中の水素分子に宇宙線が当たって飛び出す特有の中性子を月の両極付近で観測した。氷が見つかった地点は北極で1万〜5万平方キロ、南極で5千〜2万平方キロで、数多くのクレーター内に少量ずつ散乱している。観測できた氷の総量は1100万〜3億3000万トンと推測され、生命維持に不可欠な水や酸素、水素が得られれば、NASAは将来の人類の宇宙活動の貴重な資源になると期待している。(福井新聞3/7)

◆1998/3/1版

  • 宇宙膨張速度と反重力仮説
    2月27日、米ハーバードスミソニアン天体物理学センターのロバート・カーシュナー教授ら米国+欧州などの研究グループは、宇宙の星同士の離れていく速さは数十億年前に比べて増しており宇宙膨張が加速しているとの観測分析を米科学誌サイエンスに発表した。
    研究グループはハッブル宇宙望遠鏡やハワイなどの大型望遠鏡を使って70〜100億光年離れた14の超新星を繰り返し観測し近くの超新星と比較した結果、超新星同士は速度を上げて互いに離れていることが分かった。この説明として次の仮説を唱える。
    1)真空の宇宙空間に斥力の元になる反重力がある。
    2)この力はごく弱く、近距離では重力に打ち消される。
    3)70〜100億光年という遠い距離になると重力に勝って宇宙膨張の原因となる。
    宇宙の年齢は約140億年で、このまま膨張を続け、数十億年後には夜空に現在見える星の多くも遠ざかり見えなくなるとした。(福井新聞2/28)

◆1998/2/15版

  • 大マゼラン星雲の超新星の残骸画像
    2月10日、米航空宇宙局(NASA)は昨年撮影された大マゼラン星雲の超新星1987Aの残骸であるガス状リングの画像を公開した。
    写真分析の結果、超新星のガス状リングに爆発の残骸が衝突し、リングの一部が輝き始めた様子が確認された。今後数年でリング全体が明るく輝くとみられる。(福井新聞2/12)

◆1998/1/18版

  • 老化防止研究
    1月16日発売の米科学雑誌サイエンスに、米テキサス大学ウッドリング・ライト博士らのクループが、生殖細胞でつくられる特殊な酵素の遺伝子を体細胞に組み込むと体細胞を長寿化する研究が掲載される。
    この酵素は「テロメラーゼ」と呼ばれ、体細胞内には存在せず、生殖細胞の精子や卵子でつくられる。ライト博士らは、この酵素の遺伝子を人間の体細胞の染色体に入れ実験を繰り返し、通常体細胞は約70回の細胞分裂で死ぬ(アポトーシス)がさらに20回の細胞分裂後も死ななかったという。これは、細胞レベルで老化を止めることが可能であることを示す研究として注目される。(福井新聞1/15)

    <アポトーシス:プログラムされた死。細胞は自らのDNAを切断して死んでゆく。>

◆1998/1/11版

  • 銀河中心にブラックホールの証拠
    1月7日ワシントンで開かれている米天文学会で、独マックスプランク物理学研究所の アンドレアス・エッカルト博士らのグループは我が銀河系の中心部に太陽の260万倍の質量のブラックホールが存在する証拠を見つけた発表した。
    エッカルト博士らは、銀河中心射手座方向にみえる約200の星を対象に赤外線観測をした結果、太陽から約2万6900後年離れた特定の領域に近い星ほど速い速度で移動しいている現象を発見した。猛スピードで移動している星のうち最も速いのは約1000Km/秒で、銀河中心に太陽の260万倍の質量を持つブラックホール存在し、移動している星の群はこのブラックホールに吸い寄せられている可能性が高い。

    米航空宇宙局(NASA)の研究グループも、同じ銀河系内の別のブラックホールとみられる天体を観測したと発表した。
    エックス線観測衛星データーの分析から、独の研究チームとは別の領域で円盤状の天体が定期的に崩れ飛び散る現象を発見。ブラックホールと連星となっている星から、高温のガスが吸い寄せられ起きる現象であることを突き止めた。(福井新聞1/9)


Return