浜別所町
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浜別所町 - 別所石の切り出し
朝倉山の西の方、浜別所の地籍の濃流勘山(のるかんさん)というところに「別所石」の石切場があります。露天掘りであったので、その跡の二ヶ所は溜池になっています。一ケ所は切り出しを中止したままになっています。
もと、石工だった人の話によると、明治以前から石が切り出されていましたが、そのころは山の持ち主の名前を使っていたそうです。明治の初めごろ、持ち主が変ったため、別所の地籍の名前をとり「別所石」と呼ばれるようになりました。石工も浜別所の人びとが中心となり、石を切り出すようになったそうです。
石切場への道は曲がりくねった細い道なので、切り出した石は、背負ったり、そりにのせて搬出したりして大変苦労したとのことです。
別所石は、笏谷石より柔らかくて細工しやすく、火や霜に強いので、家の土台石やかまど石として重宝がられ、川西だけでなく、福井、坂井郡、足羽郡、遠くは、勝山、大野方面からも注文を受けました。特に、醤油屋や酒屋のかまど石として大変喜ばれていたそうです。
切り出しは、明治・大正時代が最盛期でしたが、昭和に入ると戦争が始まり、だんだん減少していきました。
昭和23年の福井震災のときには、別所石も復興の一役をにないましたが、石工の高齢化とともに、後継者もなくなってしまいました。