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2日目(7月13日)
菅沼登山口→弥陀ヶ池→日光白根山山頂→五色沼→弥陀ヶ池→菅沼登山口
よく晴れた朝、
昨晩の豪華なBBQを思い起こさせる消し炭の跡を虚ろに眺め、
バンガローの鍵をかけた。
夜更かしをしてしまった気がする。
日光白根山は、菅沼登山口からのルートを登ることにします。
白根山が正式な名前だけど、同じ名前の山があるので、
こちらの山を「日光白根山」や「奥白根山」と呼んでいます。
天気がいいから、当たり前だけど、林の中の歩きが気持ちいいです。
弥陀ヶ池
ここまで来れば、後は1時間少々。
弥陀ヶ池
とりあえず、休憩です。
暑くてバテバテで、木陰がヒンヤリして気持ちいいです。
休憩の後、少し登りかけたんだけど、T鄙さんは、足が不調とかで、
無理をせず、山を降りることにしました。
残念だけど、仕方ないです。
北の方角を見渡すと、
手前が弥陀ヶ池、中程が菅沼
↑左端の遠くに青く霞んで高い山は、尾瀬の燧ケ岳
急な坂をどんどん登ります。
山頂直下は、急な岩場の登りです。
山頂
狭い岩場の山頂
山頂から降りた後に事件が起きたのでした!!!
山頂を降りて、休憩していると、
周りの人たちに「つながる携帯電話を持っていませんか?」と、
声を掛けている人たちがいた。
といっても、主な携帯電話事業者は、docomoとauとsoftbankの3社だけなので、
機種によって、つながったり、つながらなかったりする訳でもないから、
携帯電話不感地帯では、
つねがる携帯電話を探し回っても無理なのだと思うけど・・・。
話を聞いてみると、すぐ下のほうで急病人が出たから、
救助を要請したいのだそうだ。
ここから連絡できないとすると、
2時間ほど降りた丸池高原ロープウェイの山頂駅まで行って救助を頼まなければいけない。
その間に容態が急変したら・・・。
すると、K林が、
「ん・・・、あるよ。」と。
で、取り出したのが、ハンディー無線機だった。
そういえば、K林が山で無線交信する姿をみることもあった。
それだけじゃなく、自宅にでっかいアンテナを立ててるアマチュア無線家なのだ。
さらに、状況を聞けば、
携帯電話を探していた人たちのグループが山頂へ向かっていると、
道の脇で横になっている男性がいたので、
付き添っている女性に声を掛けると、
その二人は夫婦連れで、
ご主人が体調不良で休んでいるとのことだった。
グループの中に看護士さんがいて、
奥さんからの話や様子を見ると、どうも熱中症の症状のようなので、
応急の手当てをしているそうだ。
そこに、運良く医師が通りかかり、男性を診たんだけど、
その頃には、
体が震えだし、かなり症状が重くなってきたので、
急遽、救助を要請することになったということなのだ。
K林が無線機で、アマチュア無線各局(CQ)に呼びかけると、
間もなくして、応答があった。
そこで、応答のあった相手に状況を伝え、消防署に連絡してくれるようお願いした。
そして、K林と応答のあった相手とが中継し、
何度も
急病人の状況を消防に伝え、
消防からの指示を急病人を看護している、最初に声を掛けたグループと我々山岳部員に伝えた。
また、我々、山岳部員は急病人を担架に載せたり、
急病人をヘリに収容する際には、
レスキューの指示で安全のため、一時登山道を封鎖したりと、
救助のお手伝いをしたのだ。
救助のへりは、最初のK林の無線での救助要請から50分程してから、姿を見せました。
K林とオイラは、無線の電波の届く高台にいて、救助を見守っていました。
救助の様子は、こんなでした。
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@ヘリの到着を待ってます。1人 だけが手を振るよう消防から指 示があり、手を振る人の服装も 尋ねられました |
Aようやくヘリがやってきました | B指示通り、ヘリに大きく手を振 って知らせます |
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Cあたりをグルグル旋回した後、 空中停止します |
D隊員が1人降りてきました | E急病人に隊員が駆け寄り、医 師と相談します |
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Fもう1人、隊員が降りてきまし た |
G急病人を担架に載せます | H担架と隊員を吊り上げる用意 です |
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Iゆっくり吊り上げています | J担架がグルグル回らないよう 、下で隊員が担架をロープを引 っ張ってます |
K担架と隊員を収容します |
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Lもう1人の隊員を収容します | M飛び去っていきます。奥さん はヘリの定員の都合で現場に 残されてしまいました |
N急病人の奥さんが世話になっ た人たちの連絡先を聞いていま す |
ヘリが飛び去った後は、
何事もなかったように、この場所を登山者が行き来し、
最初に声を掛けたグループも医師も我々も、
それぞれの方向へ歩き出しました。
気にはなっていたけど、
この救助のお手伝いで1時間30分以上時間をとられてしまったので、
先に下りたT鄙さんには連絡がつかず、
心配しているだろうと、
急いで降りたので、
この後は画像が少なくなってます。
五色沼
山頂から別な登山道を降り、五色沼を通って、
弥陀ヶ池へ戻るコースで下山します。
五色沼は、沖縄の海の色のようで綺麗でした。
下りの得意なK林は、怒涛のごとく降りていったのでした。
ここにも鹿が
弥陀ヶ池
案の定、T鄙さんは、みんなの下山が遅いので、
下山してくる人に、けが人がいないか聞いたところ、
ヘリで救助された人がいると聞いて、
ますます心配が増したそうです。
申し訳ないです。
後日、K林のもとに、
救助された男性の奥さんからお礼状が届きました。
病院に運ばれ、早く手当てができてよかったと。
ご主人は、水の飲む量がいつもより少なく、
熱中症になったようでした。
そして、手伝った山岳部員にも感謝の言葉がつづられていました。
T鄙さんは、足の調子が少し悪いからと、
自分の体調を考えて、山頂にこだわらずに山を降り、
救助された男性は、
当日の気温に合わせて水を飲まずにいて、
体調を壊してしまった。
両極端な気がします。
すぐに医者に診てもらえる状況にはない山の中では、
自分の体調管理が大切なことを目の当たりにしました。
気をつけなければ。
やはり、怪我や病気にならないことが一番だけど、
救助を要請しないといけない場合があるかもしれないから、
携帯電話を持っているだけでは、心もとないですね。
今回は、医師、看護士、無線機を持っていたK林がいて、
運が良かったけど、
人の少ない山だったら・・・、ブルブルブル・・・です。
オイラは、
K林ひとりに手柄を取らせてはならないと思って、
部員の安全登山のため、
2ヶ月後の9月に
アマチュア無線4級の試験を受けたのでした。
合格したけど、無線機を買ってないので、
コールサインをもらえていません。
(←それじゃ、役に立たんがな。まったくトホホだよ。)