銀杏峰(げなんぽ)1441m


2005/11/3

1週間ほど前

やっぱり今年も新聞に載った紅葉の記事は、刈込池から三ノ峰を望む写真でした。
スキーのゲレンデがオープンした記事が毎年、
「スキーヤーは、色とりどりのスキーウェアに身を包んで、ゲレンデに思い思いのシュプールを描いていた。」
と決まったように書かれているのと同じやね。
季節の風物詩だから、毎年同じでもいいんかな。
同じだから、秋が来たぁとか、もう冬やがなって分かりやすいしな。

それはさておき、あの写真を毎年見せられると、
紅葉を見に行かなくては冬が来ないとまで強迫観念にとらわれてしまうのは、
オイラだけじゃないはずだ。
しかも紅葉真っ盛りなんだから、
2週間後に行ったんじゃ葉っぱはもう落ちてしまってるに違いない。
そうに違いない。
だから、すぐにも行かなくちゃ行けないんだ。

だからといって、刈込池に行ったんじゃ、記事を見て殺到する人ごみの一人になっちまう。
駐車場だって広くないから空くのをずっと待つか、
手前の鳩ケ湯で駐車して歩くかだから、とんでもない。
やっぱり静かな紅葉を見たいでしょ〜。

んで、不思議な名前だから気になってた銀杏峰に登ることにします。
銀杏が取れたからじゃなくて、銀が取れたからこの名前になったとか。

行ける日はっと、・・・11月3日しかない!
天気は、・・・週間天気予報では、まずまず。
枯葉を踏んでカサカサって音を聞きながらの陽だまりハイクを期待してっと。

当日

朝から曇ってます。天気予報じゃ、この後、雨になるとか。
普段なら山には行かないな。
でも、単独行だから止めてもいいんだけど、
今日しか行ける日がないから強行します。

大野市に入った頃には、フロントグラスに小さな水滴が落ちてきて、
宝慶寺いこいの森キャンプ場に着いたときには、小雨なってしまいました。
あんまり、登りたくないなぁ・・・。
登るつもりでいるけど、思案が続きます。

銀杏峰へは、小葉谷コースと名松コースがあり、
名松コースは、いこいの森キャンプ場駐車場からが登山口です。
小葉谷コースの登山口は、いこいの森キャンプ場からさらに車で林道を進んで、
カーブの外側に車を停められるスペースの所です。
登ってから分かったのですが、さらにこの林道を先に進むと、
登山道と交わるので、その付近に路上駐車してそこから登る人もいるようです。
くれぐれも通行の邪魔になりませんように。
そんなに通行はないか。

小葉谷コースから登ることにします。
道路脇には、先客の車が3台停めてありました。

登山口の鄙びた風情のある鳥居をくぐって登り始めます。
登山口に鳥居のある山は少ないと思うけど、
山頂に祠がある山は多くあり、安全な登山の祈願のための祠かもしれないけど、
山には神々が住むということなのかな。
鳥居は、神の住む領域と人間界との境界だし、神域への入り口を示すものだからね。

銀杏峰の登山口
登山口はこんなです。

登りはじめから、ずっと急登が続きます。
すぐにも息が切れてくるよぅ。
10月は全然、体を動かさなかったからやな。
昨日は午前1時まで仕事してて4時間くらいしか寝てないから、
ついでに頭がふらつく感じ。
ここ半月ぐらい4時間睡眠が続いてる。
受験なら四当五落で合格かぁ。

なんで斜面をジグザグに歩くように登山道を整備してくれないんだよぅ。
ロープのある所が10箇所以上あったような。

そしたら、こんな立て札があった。
それじゃ、これまでの登りは、なんだったの?
十分に急登だったと思うけど。

ここより急登

次に現れたのは、この立て札。
ゼイゼイいいながら、登ったのに、今度は急な下り?
いったん高度を下げて、また登りかえすのかい?

ここより急下り

でも、なぜだか登りが続いてて、急な下りどころか、並みの下りもないけど・・・、なんで?

そんなことを考えながら歩いてると、先客たちの背中が見えてきた。
この辺りから緩やかな登りになって楽に歩けてきます。

先に賑やかな声が聞こえてくるなぁと思ったら、
周りが開けて、そこが山頂でした。
賑やかな声は10人ほどのグループでした。
ん〜?なんだかうちの近所で見かけたことがあるような人もいるような。

この頃は、雨は降ったりやんだりの小雨です。
昼ごはん食べるのにザーザー雨が降ってたら悲惨やもんね。

お気に入りのチョコパイ

ザックを置いて昼ごはんの用意をしていたら、1人のおじさんが声を掛けてきた。

おじさん:「そのザック、何リットル?僕のは20リットルなんやけど、
だんだん大きなザックが重くて背負えんようになってきたんですわ。」

オイラ:「これは、28リットルです。丈夫な素材使ってたり、
便利なポケットがいくつも付いてると重くなりますからねぇ。」

おじさん:「どこかの山岳会に入ってるの?」

オイラ:「いえ。」
(山岳部に入ってるって言うと、どんなにか山に登っているに違いないと思われるから言わないことにしてる。)

おじさん:「1人で歩いてるんか。仲間と歩くのもいいざ。
僕は山歩会に入ってるんや。山歩会って知ってるか?」

オイラ:「すいません。知りません。」(ホントに知らんかった。)

おじさん:「『登ってみねの福井の山』の本を出してるとこやけど。」

オイラ:「あっ、それなら知ってます。」(それは知っててよかった。)

おじさん:「山歩会は、どんどん高い山も登ってるんやけど、
僕はだんだん歳とってきて、付いていけんようになってもたんや。」(ちょっと寂しそう。)

オイラ:「低い山でも綺麗な景色はいっぱいありますから。」
(慰めたつもりだけど、そんなことはおじさんは百も承知だろうな。)

ここでオイラがラーメンを煮過ぎてしまうのが気になって、
目線を鍋に移したところで会話は終わってしまったのだ。

オイラもおじさんぐらいの歳になったら、きっとおじさんと同じこと思ったりするんやろなぁ。

先客たちは、寒いからもう居られないと記念撮影をして下山していった。

銀杏峰の山頂
山頂はこんなです。

誰も居なくなって静まり返った山頂は、
相変わらず一面灰色のガスの中で、全然眺めなんかありません。
ぼやっとしてたら寒くなってきたので降りることにします。
セルフタイマー撮影
登ってきた道を引き返します。
さっきの1300mでの立て札の所で気が付きました。
これは下りのための立て札なんだ。

先客たちのグループに追いつき追い越していきます。
ロープの箇所では足元がズルズル滑るから、ロープに頼り切ってぶら下がるようにして降ります。

ブナの山だから紅葉目的の登山者が多く来てるかなって思ってたけど、
雨だからか登山者は少なくて、華やかな紅葉にうっすらとベールがかかって、
しっとり落ち着いた山になりました。
そりゃ晴れてた方が雪を被った白山や赤や黄色の葉っぱがくっきりと見えて、
感動もんなんだろけど、
これも趣きがあっていいかな。

実は午後2時から仕事に出ることにしてるから慌てて降りました。
いったん家に帰って、仕事に出て、午後11時まで仕事してましたとさ。
あ〜、レジャーの後に仕事に出かけるって最悪。
深夜に風呂に入ってて、気持ちがグッタリでした。ブクブク・・・。

数日後に分かったんだけど、山頂にいたグループは、オイラが住んでる地区の人たちで、
その日は、地区の行事で山に登りに来たそうです。
どおりで、見たことがあると思ったんだ。

今日の山メシ:インスタントラーメン、チョコパイ


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