白山(はくさん)2702m 深田百名山


2005/8/16-17

4年前、
友達の女性二人から山に登ってみたいと言われ、
まず最初に連れて行ったのが、法恩寺山でした。
低い山に登って、料理を振舞えば、
山って案外、楽で、おいしいと思ってくれて、
山好きになってくれるかもとの策略(?)だったから。

ってわけで、山オンナ育成プロジェクトのミッションが緩やかに始動したのでした。

ところが、法恩寺山に続いて経ヶ岳なんかの低山を密かに計画したんだけど、
ことごとく3人のスケジュールが合わずにお蔵入りでした。

それならいっそ、福井の山々から1000mステップアップしてしまって、
百名山にデビューして、
山頂から蒼く連なる峰や満天の星空を目の当たりにすれば、
もう虜になってしまうだろうから、
小学生でも登ってしまう(幼稚園児も見かけるけど完歩はしてないだろうってことで)
かなり登山道が整備されて登りやすい白山をネクストターゲットにするよ。

登りは砂防新道、下りはエコーラインから砂防新道を降りる王道コースってことで。

遠足のしおりも作って、服装、装備、山小屋の使い方や登山のマナーも書いておいたからね。
気分を盛り上げておいてよ!

当日の朝、
そんなプロジェクトが進行してるとも知らない2人とショッピングセンター駐車場に集合。
日帰りなら3時30分集合だけど、小屋泊まりだからゆっくり5時に。
Myレガぴょんに乗り換えて、白山にGoです。

夏の交通規制で、自家用車は市ノ瀬に駐車して、バスに乗り換えます。
駐車場は混んでいたけど、
ラッキーなことにバス停から遠くない場所が空いていました。
バスに乗り換えて、登山口の別当出合に着きました。


山オンナ育成プロジェクトが密かに進行しているとも知らずに無邪気に喜んでます。
うわっ!首からタオルは、ねえだろ!
きょうび、ハイキングはファッショナブルなんだぜ。


甚之助小屋で休憩です。
うす曇りだから、そんなには暑くないので、二人はまだまだ余裕みたい。
ヘンゼルとグレーテルみたいに、
太らせてから食べちまおうと、どんどん食べるように指示します。(ウソ!)
シャリバテしないように、小まめに炭水化物や糖分を取ってねとアドバイスしたのです。

快調に歩いてる。
普段見ない景色だからか、楽しんでるようで、ヨカッタ、ヨカッタ。


黒ボコ岩の上です。
K1号とK2号は、何か話し込んでたんでしょうか。
ここでは、眺めがいいので、まった〜り20分ほども休憩してしまいました。


んで、やっぱり、食材、食器なんかの共同装備や
K1号、K2号の日帰りザックには入らない防寒着なんかはオイラが担ぐので、
70リットルザックが80%の混み具合です。
なもんで、
重量は15キロにもなってしまい、テン泊装備の重量とさほど変わりません。

白山でこのザックだと、「どこまで行くの?」って聞かれたりします。
「室堂なんですけど、パーティーグッズが入ってるもんですから。」と答えておきましょう。

そういや、前回の法恩寺山でも聞かれたなぁ・・・。
南竜ヶ馬場でテント泊ができるから不思議はないんだけど、
日帰りや小屋泊まり中心の白山では大きいザックは珍しいんでしょう。

まあ、今のうちはK1号、K2号は甘やかしておいて、
徐々に山の現実に慣れてもらうって策略ですよ。


弥陀ヶ原に延びた木道をスタスタ快調に歩いてます。

五葉坂の途中で、上から聞き覚えのある声がします。
すれ違うときに顔を見たら、ご近所のNさんじゃないですか。
(この方、2007年7月現在、白山に176回登っている方です。)

白山に登ると、けっこう知ってる人に会うんです会うんです。
80%ぐらいの確率で。
週末にショッピングセンターへ行ったときよりも確率が高いのが不思議です。
気候の安定した夏山って、3週間ほどだから
その時期に登る人が多いから、会うんだろうね。

急な五葉坂を登ったら、ようやく室堂です。


室堂ビジターセンターです。2001年に建て替えてとてもきれいになってます。

室堂到着です。
ひと休みして、昼食の準備に取り掛かります。


メニューは、ショートパスタのペペロンチーノ、豆腐海藻サラダのバジルドレッシング和え、バケットです。
さすがに、チーズフォンデュセットや焼肉セットは、
山オンナ育成のためには担ぎ上げたくなかったので、
シンプルな山メシらしいメニューになりました。


炭水化物中心のメニューにビールを添えます。

この後、お腹がいっぱいになって、このベンチでうたた寝してしまいました。
日差しは強いけれど、涼しくて気持ちいいんです。

ところが、K1号に事件が起きました。

頭が痛くて、気分が悪いって。
それって、高山病ってことも?
そういえば、お酒を飲んだりして寝てしまうと、
呼吸が浅くなって酸素不足になり、高山病にかかりやすいとか。

だとしたら、高度を下げないといけないのだけれど・・・。
とにかく、体を温めて様子を見ることに。


今夜、お泊りのお宿です。
ビジターセンターは建て替えたんだけど、こちらは前のままです。
でも、畳と壁板は新しくなってます。

2人には山に登る前に、
山小屋のオキテを話しておきました。

山小屋では、泊まりたい登山者を受け入れなかったら遭難するから、
宿泊客をどんどん詰めるので、
客が多いと1枚の布団に知らないオッチャンと2人で、
3人になったら頭と足を隣同士互い違いにして寝て、
顔の横にオッチャンのムレムレの足があるんやで!

さらには1枚の布団に4人で寝ることもあるし、
廊下や食堂の床にでも横になれたらいいほうで、
座ったまま寝ることもあるんやで!

もしかしたら、寝ぼけたフリしたおっちゃんが、
寝返りしたとみせて、抱きついてくるかもしれへんで!と、

さんざん脅しまくってビビらせてたんだけど、
お盆を過ぎたからなのか、
白山では思ったほどお客さんは多くなく、1人1枚の布団で寝れました。
(ハイシーズンの涸沢では1枚の布団で2、3人で寝ることはあるらしいけど、
まさか男女混合ではないでしょ・・・。)。


ビジターセンターの臨時郵便局で、暑中見舞いを出しているようです。
自宅宛なら、はがきより本人の方が早く着いてしまうけどね。


夕食です。
オイラ、白山で泊まるのが初めてだから、どんなんだか興味津々。
んでも、北アルプスの山小屋のようなゴージャスさはないけど、
シュウマイ、鶏肉のケチャップ煮、筑前煮、アスパラサラダ、ネガマリタケの漬物、味噌汁、グレープフルーツって、
許容範囲ですよ。
右上のフリカケと海苔の佃煮は使いたい放題です。
K1号は、相変わらず気分が悪くて、食べることができませんでした。


食後は、外に出て撮影会です。


一応、お付き合いでお面を被ってみるケロ。
このときは、白山山頂(御前峰)がすっきりと見えていたんだけどね。


雲が激しく動いて夕焼けの染まり具合が、とても変化してます。


青空が広がったり、曇が湧き出したりの変化が楽しめました。
上の雲は高いところにあって雨の心配はないんだけど、
下のモクモクした雲は雨を降らせそうで明日が心配です。

今年の夏は天候不順で、8月に入って久しぶりに青空を見たって、小屋の人は言ってました。
今日来たのがついてたのかなぁ?
とも思えないような、崩れ始める予感のするする雲ですよ。


夜は、外に出て、ワインを開け、星を見上げました。
こういう局面では、ロマンチックな演出も必要なんだけど、
ワイングラスじゃなくて、シエラカップでしたけどね・・・。

ときおりガスがきれて星空が広がるんだけど、すぐまた真っ暗になり、
あとには白っぽくなってガスが出てきました。

K1号は回復したのか、ワインを飲んでます。
軽くすんで、高度順応したのかな?
それとも、高山病じゃなくて、
酒があまり強くないK1号だから昼の缶チューハイに酔ったからかな?
まあ、とにかく回復して元気になってくれてよかったです。

星の数が多すぎて星座が分からなくなるほどの
すごい数の満天の星空を見てほしかったんだけど、
それは、叶いませんでした。
でも、目をこらしていると、時々流れ星がスーっと落ちていきました。
K1号、K2号は、何か願いごとをしたかな。

部屋は、2段ベットになってて50人ぐらいが寝れるんだけど、
あちらこちらから大きなイビキが聞こえてきて、
人間じゃない生物が唸りをあげてるみたいです。

しまった!小屋泊り必携の耳栓を忘れてしまいました。
オイラは疲れて寝てしまいそうだけど、
K1号、K2号は、ビビらせたこともあるし、初めての体験なので寝れてるでしょうか。
ちょい心配です。

翌朝、聞いたら、やっぱり怖いくらいのイビキやったって。
実は、オイラの隣のオッチャンのイビキがすごくて、
目を閉じてると、なんだかどんどん近づいてくるようで、ある意味怖かったぁ。

・・・・・・・。

目が覚めたら、ザーザー雨の音です。
外に出てみても、やっぱり雨でした。
翌朝、ご来光を見るため、日の出前に登り始めようと思っていたのに。
ご来光は諦めて、
もう一度寝なおしです。
雨、止んでくれぇ!山オンナ育成プロジェクトが台無しじゃん!

・・・・・・・。

朝ごはんを食べたら、雨が止んでいました。
山はすっぽり雲の中だけど、雨が止んでるなら登ってみるしかないって!

サブザックにレインウェアを放り込んで、ガシガシ歩くでぇ。

昨日、K1号、K2号に「ゆっくり歩いてるんか」と聞かれたので、
彼女たちに余裕があるならと、今日は歩くペースを上げてみました。
すると、中腹あたりで、
「もう、あかん。」とK2号の呟きが後ろから聞こえてきた。

歩くペースが速かったけど、だれも言い出さないから、
自分だけが辛いだけなのかと我慢してたって。
そしたら、K1号も「しんどかった。」って。

ごめんな。気の配り方が足りなかったです。
山頂を前にして、オイラの方が気がはやったのかな。

少しペースを落として。


残念、山頂はガスがかかってしまいました。
まったく眺望はないけど、とりあえず百名山を1座登頂ですよ。
パチパチパチ、おめでと〜!

降りる途中で、後ろを振り返ったら、山頂のガスはなくなっていたよ。
悔しいなぁ!

山頂から降りて室堂に着いたら、知った人にまたも会ってしまいました。
山岳部へなちょこ隊のMです。
そんなに山に登っていないMとオイラですが、彼と山で会ったのは2度目です。
しかも、お互い連れが1度目と同じという偶然もオマケに付けて。

下りは、お花畑の広がるエコーラインを通ることにします。
花のピークの時期は過ぎてしまってるけど、どうでしょうか。


草に水滴がついて、ガラス細工のようで、とてもきれいです。




北方の針葉樹の森を空撮したようなアオノツガザクラ。


イワギキョウ


アオノツガザクラ


アザミ


ハクサントリカブト


エコーラインのお花畑は、まだまだ花がいっぱいありました。
植物図鑑でも作るのかというくらいに撮影しましたよ。


南竜ケ馬場の小屋(左手)とテント場(右手)です。

南竜分岐から黒ボコ岩に向かいます。


ザレた所もあるけど、歩きやすい道です。

途中、とうとう小雨だけど降ってきてしまったので、
しかたなく雨具を着ることにします。
ゆっくり降りたのでそんなには暑くならなくてよかったです。

でも、K1号、K2号は、
「雨降るし、景色ないし、疲れてきたし、もう、どんだけぇ〜!!!」
(2005年に「どんだけぇ〜!」って言葉はなかったけど)
って思ってたかなぁ。
初めて登った山で登山が好きになるか嫌いになるか決まるっていうし。

山オンナ育成プロジェクトの危機かも!

小雨は降ったり止んだりしてます。
気分は、サゲサゲなので、ポイントごとに休憩して、
最後は中飯場で雨やどりして休みます。

そしたら、室堂で会ったM君がオイラ達を追い越していきました。
室堂で会った後、山頂を往復して降りてきたそうです。
あいかわらず、歩きが速いのです。


別当出合の吊橋に戻ってきました。
お疲れ様ぁ〜!

厳しいプロジェクトやさかい、口に出しては誉めへんけど、
オイラの心の中じゃ、
「愚痴も出さんと、よう歩いてくれはったなぁ」って、
感動してんねんでぇ。
オッチャン、涙でボヤ〜っとしてもて、ピントを合わされへんがな。
(嘘やろ、オートフォーカスやったわ・・・。)

山オンナ育成プロジェクト第2弾は、山が好きになる要因の一つ、
頂上からの雄大な景色、連なる山々の変化に富んだ稜線を見せることができず、
感動させてあげられなかったし、
山が嫌いになる要因の一つ、
雨の中の登山になってしまったのは、残念でした。

晴れていれば、こんなでしたよ。
2004/10/17 ほぼ快晴のうっすら雪の積もった白山に登ってました。

山頂から室堂、そして左手には別山。どっしりと
した山並みです。
山頂から剣ヶ峰と紺屋ヶ池です。
この日は、槍ヶ岳(中央奥のツンと尖った山)が
見えました。白山から見えたのは、オイラ、初め
てでした。感動っス!
このときは、ご近所のNさんと登ったのですが、
室堂で「エーデルワイス」をハーモニカで吹いて
いただきました。
隣ではおでんパーティー。

山頂での景色に感動してもらえることができなかったけど、
違う感動を期待されてて、
「ザックの中は、パーティーグッズと言っていたくせに、山頂でシャンパンタワーがないなんて興ざめよっ!」
って、言われなくてよかったですよ。

帰りは、白山天望の湯に入って、すっき〜り。
露天風呂からは、白山が見えるはずなんだけど、やっぱり山頂は雲の中でした。



その後も、秋の荒島岳で早くも百名山2座登頂とか、
翌年は唐松岳で北アルプスデビューなんて計画を立てるんだけど、
スケジュールが合わずに、
そして、この後、一緒に再び山に登ることはかなわず、K1号、K2号はご成婚なされたのでした。

でも、山嫌いにはならなかったようで、「また登りたい」って言ってたから、
いつか北アルプスにデビューさせてみたいものです。

山のブログを見ていても、
ダンナが山好きじゃないと、山登りは続けられないようです。
未婚の女性の方々、登るなら今のうちですよ。




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