白山(はくさん)2702m(深田百名山)
別山(べっさん)2399m


2007/8/11-12



白山って、こんな景色だったっけ?

なんだか、景色はギラギラまぶしいし、緑が毒々しいくらい悪意に満ちている。
木々は、森の精霊を宿して、山に入る人々を見守っているのはずなのに、
なんだか、抜け殻のようで、静かに突っ立ったままだし、
空気だって、肺胞の壁に粘りついて息苦しい。

白山って、登山者に優しかったはずなのに。

我々の邪気を敏感に察して、
入山を阻もうとしているのだろうか。
山の精霊の悪戯なのか。
山の神の怒りに触れたんだろうか。
だったら、だれか女性を生贄に差し出したほうがいいかなぁ。

日帰りできる山を1泊して楽々登っているはずなのに。
目には見えないけど、
足首をつかむ者や背中のザックの上に乗っかっている者がいるに違いない。
それとも、空気がゲル状に固まり始めていて、
前に進めないのだろうか。

さっきから、首を持ち上げられなくて、足元しか見えない。
もう、足が出ない。
休むしかない。

ヨツバシオガマ イワギキョウ ノッポさんが黒ボコ岩でシンクロ
H江さんとI佐さんです。

ザックを下ろし、岩に腰掛けてあたりを見回してみる。
木々は、あいかわらず無関心を装っているし、
見張り役で伝令が得意な蝉は、ジージー鳴いて、
我々の様子を森中の精霊に伝えている。

休憩は瞬く間に過ぎて、義務のようにザックを背負う。
下ろす前よりも、さらに重くなっている。

この集団は、バイオハザードのゾンビのように、
辛さで歪んだままの表情で歩き出した。
ゆっくりとだらしなく手足を動かすと、
重く足を引きずる音が森に吸い込まれ消えていく。

カラマツソウ クロユリの実 オンタデ


ビリー隊長は、「サークル、サークル。」、「Can it!Can it!」と叫びながら、
グルグルと持ち上げた腕を回している。
ビリー隊長、ありがとう。
必ずやり遂げるって、強い気持ちを持てば、
俺にでもできるんだね。
Can it!Can it!

でも、ビリー隊長、もうだめだよ。
甚之助小屋のまぼろしが、ユラユラと揺らめいて見えてるよ。
景色のコントラストが強まってきて、白っぽくなってきた。
熱中症かも。
シェリー。
君みたいな腹筋はできなかったよ。
・・・・・・・・。

トンビ岩 チングルマ ミヤマダイモンジソウ


熱中症にならずにすんでよかったけど、とにかく暑さでバテバテでしたが、
休憩を多く取り、なんとか室堂にたどり着くことができました。

参加者は、K寺さん、K村さん、T下さん、S藤さん、H田さん、Hたさん、Y道さん、
H江さん、M島さん、S山さん、I佐さん、I東さん、S原さん、オイラの14人です。

久しぶりの賑やかな山登りで、楽しいですよぅ。


T下さんは、現実と幻の間を行き来し、無意識で足を前に進めているのでした。

今回は、H田さんが地区の白山神社の氏子総代をしているので、
そのツテで室堂の白山神社に泊めていただくことができました。
なかなかできない体験ですよ。




神社の建物の向かって左の棟で泊まることができます。
畳敷きの清潔な部屋でした。
山で、畳の上で手足を伸ばせるなんて幸せ〜。
もちろん、参拝が目的なので、お神酒を奉納しましたよ。

翌朝は、ご来光を拝みに午前3時すぎに登りはじめるから、
今夜は早く寝るつもりだったけど、
久しぶりの大勢での登山だから、
宴会になってしまって、
担ぎ上げてきたビール、ワイン、焼酎が雪解け水を集めた沢のように、
気持ちよく流れ込んできます。

・・・・・・・・・・・・・・

翌朝は、まだ暗いうちから用意をはじめますよ。
神社が打つ太鼓の音が室堂に鳴り響いてます。
外に出て山を見上げると、
山腹からヘッドランプの明かりが帯になって、沢の流れのようです。

行列の後に付いてゆっくりと登った山頂は、
かなりの混雑具合で、満員電車を連想させます。

東の斜面には人々が張り付いてご来光を今かと待っています。
みなさんの期待度は、160%を超えているでしょう。
山の端がオレンジ色に輝き始めて、期待度が200%を超えた頃、
東の空と山との境界を見つめていたら、
とうとう出ましたよ。
バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!
万歳三唱って、ご来光の定番スタイルですね。

きっと、今日のご来光は300%の満足度ですよ。

          いつものことだけど、槍ヶ岳しか分からない。↓ココ
幻想的な日本画の風景が見渡す限りに広がってます!

ご来光の後で神事があるのです。

山頂横の白山奥宮の神殿でお祓いを受けています。

このとき、サプライズなバッタリがありました。
この日は、泰澄大師の足跡を辿るというクロユリ会の方々のイベントのゴールもあり、
その会の中に昨年山岳部を退部されたM沢さんもおられたのでした。
お元気で山登りを続けられています。

白山の影が向こうの山まで伸びています。影白山っていうの?

白山神社に戻り、朝食を食べます。
今回は、前日の夜にアルファ化米を2食分戻し、
1食分は牛丼にして食べ、もう1食分は朝食用として残しておきました。

朝食のメニューは、「野沢菜茶漬け塩味焼き鳥の缶詰和え」です。
昨夜戻しておいたアルファ化米の袋の中にお茶漬けの素と缶詰の焼き鳥を入れて、
お湯を注ぐだけ。

これ、かなり旨い!
鶏のダシとお茶漬けの塩味が絶妙!

しかも、食べやすくて、食器を汚さなくて済んでしまうというスグレメニュー。
みなさん、試してみたらぁ。

室堂からトンビ岩コースで南竜ヶ馬場に向かい、別山を目指します。


こんな隊列を組む山行は久しぶり。
南竜ヶ馬場の湿地を進みます。

いったん谷に降りて、そこから油坂の頭を登りかえします。


涼しいんだけど、日差しが皮膚に痛いです。
谷を降り、斜面をジグザグに登っても、まだ別山は先です。


別山から白山を振り返ります。
ゆったりとした山に見えますねぇ。

白山からの気持ちいい稜線歩きは、ここでおしまいです。名残惜しいなぁ。

別山からの下りは、チブリ尾根コースなんだけど、
このコース、単調で、長くて、水場がなく、辛い下りになりました。

砂防新道だと、分岐や小屋や水場があって、変化があるんだけど、
ここは、チブリ尾根避難小屋があるだけで、
登山口近くの水場まで何もないから、
気持ちの切り替えができずに、
なんだかズルズル歩いてるだけです。

このチブリ尾根を夏に登りに使うのは、きついなぁ。
秋に紅葉を眺めながら、ゆっくりと歩いたら気持ちいいかも。
辛さを忘れた頃にね。

チブリ尾根避難小屋から別山を振り返ったら、あんなに遠くなってた。

山じゃ、反省と学習の繰り返しですよ。
思い知ったことを2つ。

まず1つ目は、
夏の白山は、市之瀬から1番バスに乗ったりして、早朝に登りはじめないと、
暑さにやられますよ。
ビリー隊長が励ましてくれるのも、この夏限りだろうから。
来年は、ビリーブーム、続いてるかなぁ?

そして、2つ目は、個人的なことなんだけど、
行動食をジップロックの袋にまとめて入れて、ゴミを少なくしようとしたこと。
それはそれでいいんだけど、
中にシリアル、クッキー、ミックスナッツ、ドライマンゴーを一緒に入れておいたら、
シリアル、クッキーが割れて崩れて、
袋の中は渾然一体となって食べる気がしなくなりました。
まあ、これに牛乳を注いでスプーンですくって食べたら、
普通においしいんだろうけどね・・・。
でも、ちょっとね。
簡単に割れて崩れてしまうものは、入れちゃいけないですね。

そういや、
白山は、日本三大霊山なんですよね。
白山、立山、富士山でしたっけ?
恐山、羽黒山、比叡山、御嶽山はどうなるの?

んで、
今回は、霊山らしい山を初体験して、白山神社を知るきっかけにもなって、
ただ登るだけじゃなくておもしろかったですよ。



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