薬師岳(やくしだけ)2926m(深田百名山)
黒部五郎岳(くろべごろうだけ)2840m(深田百名山)
鷲羽岳(わしばだけ)2924m(深田百名山)
水晶岳(すいしょうだけ)2986m(深田百名山)


2007/8/18-21

恒例の「ひとりでできるかな」ですが、
今年のテーマは「テント泊縦走」です。

これとは別に、今年感じたのが、
服装や楽しみ方なんかの登山スタイルが幅広くなってきたのかなぁってことでした。

ところで、
富山駅から登山口のある折立までの早朝のバスに乗るためには、
深夜発の「急行きたぐに」に乗らなくちゃいけないけど、
新潟県中越沖地震の影響で8月いっぱい運休です。

なので、テーマとは別に、今回は初のホテル前泊縦走ですよ。


2007/8/17


8/17の夜にベットで眠るザック

仕事を終えてからの富山入りです。
山旅が一気にゴージャスな気分で、
しかも、ホテル近くの秋吉富山駅前店でひとり前夜祭やっちゃった。


純ケイ


2007/8/18


夜明け前の富山駅前のバス停にザックを担いだ人たちが集まりはじめ、
屋台ラーメンは店じまいをしています。
夜と朝が交代するときです。

終点の折立でバスを降り、
折立ヒュッテに登山計画書を出してから歩き始めます。


折立ヒュッテ

しばらくすると、下のほうから、どこかのグループが歌ってるが聞こえてきます。
それも、次々と歌って切れ間なく。
声が聞こえなくなると、しばらくして、
「ファイトー!オーッ!」って掛け声が。

三角点のあるベンチ ここから景色がよく見えるはずだけど雲雲

オイラが休憩してるときに、このグループに抜かれたけど、
大学生の7人のようで、
髪の色は、茶色、金色、緑もあるし、
そのうちの一人は、腰の周りにバレリーナのようなヒラヒラ着けて、
そこから、前に作り物の白鳥の長い首と頭がニョッキリ出ています。

山で出会う大学生って正統派のワンゲルしか見たことなかったから、
かなり衝撃!



それを見る登山者は、
うるさいなぁって迷惑顔あり、
元気な子たちだなぁって、苦笑ありで、
新しい登山スタイルに戸惑い気味ですね。


見た目より辛い木道の登り。太郎平小屋のシルエットが浮かび上がってホッとした。

木道をあえぎながら登るとガスの中から太郎平小屋が現れました。
今日は、ここから少し降りた薬師峠キャンプ場にテントを張り、
そして、ザックを置いて、すぐに薬師岳に向かいます。

樹林帯のゴロゴロした急な岩場を登ります。

薬師岳に向かう途中では、大きなザックを担いだ若い人たちに出会います。
たぶん立山の室堂から入ってテント縦走してるんだと思います。
女性単独、カップルが目立ちますね。
男なんか見ないからだけど。


薬師岳山荘 小屋の前に座る女性も単独行 
室堂から来たみたいで、水晶岳まで行程が同じだったからよく見かけました。


小さな石ころだらけの広い尾根道をズンズン歩きます。


薬師岳の大きな中央カールです。

薬師岳の頂上に着いたら、
「ポン」、「点棒なくすなよ」、「どれ切ろうかな」って声が聞こえてきます。
先程、太郎平小屋の前で抜かれた大学生のグループが、
頂上の祠の横で銀マットを敷いて麻雀やってました。
堅物のベテラン登山者に「山を舐めとんのかぁ!」と怒られそうですが・・・。

薬師岳山頂の祠 山頂でポージング 雪渓で遊んでる大学生


北アルプスが全部見れるというふれこみなのに、
ガスガスで周りの山が見えなくて、しばらく待ってみたけど、ダメでしたね。


雷鳥のヒナが岩場を走り回っています。

薬師峠キャンプ場に戻ると、薬師岳ですれ違った単独女性やカップル達が夕食を食べてました。

そのうちの単独女性の食事後の片づけを見ていたら、
食器をすすいだ水を飲んでしまいました。
食事の後は、食器に水を入れて、すすいで、水を捨てて、
トイレットペーパーで拭くってのをよく見かけるけどね。
捨てると排水だけど、飲んでも当たり前に害はないから、
キャンプ場をきれいに使うマナーとしては当然でした。
昔は、普通にみんな飲んでたんだけどね。




2007/8/19

午後7時に寝て、午前3時に起きて、
食事して4時に外に出てみたら、テントがまばらになってました。
みなさん発つのが早いです。

カップルが朝の体操をしているのを見たら、
男性が「1、2、3、4」って声を掛けると、
女性が「5、6、7、8」って返して、
2人の体の動きが見事にシンクロしています。
●●大学ワンゲル部って名前の入ったシャツ着ていたから、
部活でやってる体操なんだろうね。


日の出なので、影が長く伸びてます。

北ノ俣岳までは緩やかな丘を行き、
北ノ俣岳を過ぎて、いくつかのアップダウンを繰り返します。


北ノ俣岳から有峰湖が


チングルマの綿毛に朝露が付いてキラキラしてます。


このジグザグ急登りは、かなり疲れました。

あの頂が山頂かぁ?ガンバレー!


黒部五郎岳頂上直下の分岐から黒部五郎岳山頂を見上げます。

岩ゴロゴロの斜面をひたすら登ったら、分岐です。
ザックをデポして頂上に急ぎますよ。

黒部五郎岳の頂上に、またもや昨日の大学生グループが麻雀をしていました。
山頂で麻雀するって目標を立ててるんだろうね。
そのうちの1人が、
「俺たち遭難したら、装備品を確認されて、
ザックから麻雀セットが出てきたら、恥ずかしいなぁ。
なんだこいつら、遭難して当然って言われるんだろうな。」って笑ってました。
そのとおりだよ。無茶しないように。

山頂でポージング カールの底から頂上 コバイケイソウの群生

下には、カールの草原が広がっています。
稜線コースよりカールのコースが景色がいいということで、
岩ゴロゴロの道を下っていきます。

屏風のようにそそり立つ稜線を見上げながら、
初めてカールの底を歩きました。


大きなカールです。

黒部五郎小屋を目指しているんだけど、
山頂から小屋を見下ろしたときは、
近くに見えたのに
樹林帯に入ってからが、いつまでも小屋にたどり着かず、
長く感じて飽きました。

黒部五郎小屋で昼食を食べていたら、
黒部五郎小屋のキャンプ場で麻雀の大学生グループがテント張っているのが見えたけど、
オイラは、この小屋から尾根を越えて三俣キャンプ場まで行かねばなりません。

雲が出てきて、今にも雨が降りそうだから、先を急ぎます。
尾根に上がるまでの急登で、
とうとう雨が降り出し、遠くで雷が鳴ってます。
この先、尾根を歩くから、落雷に注意しないと危ないです。

降りてくる人たちに尾根の様子を聞くと、
「尾根は一面ガスの中で、すぐ近くで雷が鳴ってた」っていう人もいて、
危険かもしれないから、
尾根の手前で30分近く停滞することになりました。

でも、今日、三俣キャンプ場へ着かないと、
計画を変更して、
鷲羽岳と水晶岳を諦めて帰らなくてはいけなくなるから、
先に進むか、引き換えして黒部五郎小屋でテント泊するか、
大きな決断です!!!

でも、さらに、雷が近くなってきたから、引き返すしかない!!!
残念!
でも、事故にあうよりいいかっと自分を納得させました。

ところが、
引き返そうと振り返ったところ、
オイラの背後の空は、雲が切れて晴れ間がどんどん広がってるじゃない!

さっきの苦渋の決断はなんやったんや!

遮るもののない尾根に上がると、
老紳士が傘をさして悠々と歩いてきます。
雷が近かったんじゃないですかと聞くと、
「いや、たいした事なかった。」と平然としてました。
山をよく知っているのか、無謀なのか・・・。

今日は、縦走装備の重いザックで12時間近く行動してるから、
もう歩くのが嫌になっちまった。
疲れてくるとザックに振られて、体がよろけそうになって危ない危ない。
2日間でこんなに疲れるんだから、
とうてい、長期縦走なんてできそうもないです。

このあたり、雨と疲れで写真を全然撮ってません。

グッタリして着いた三俣キャンプ場には、
薬師峠キャンプ場で一緒になった人たちも何人かいて、
明日、水晶岳に登ってから、高天原温泉や雲ノ平を通って、太郎小屋から折立に降りる
北アルプス核心部分ぐるりっと周遊コースを歩くそうです。
長いコースだけど、たっぷり満喫できるだろうなぁ。

夕方、激しい夕立です。


2007/8/20

朝、テントを出てみると、澄んだ青空が広がってます。
俄然、登る気になってきましたよ!
だって、サブザックだけで登るから、身軽だし!

三俣山荘の前を通って、鷲羽岳のザレた斜面をジグザグに登るのですが、
朝の風は冷たい。
でも、気持ちいい〜。


水が涸れたの?鷲羽池

鷲羽池を過ぎれば、もうすぐ山頂。

鷲羽岳の山頂からは、北アルプスの山々が360度のパノラマになって、ぐるりっと見渡せます。
槍、穂高、笠、黒部五郎、薬師だけじゃなく、南アルプス、富士山までもが!
近くには、山に囲まれた台地状の雲ノ平が緑の芝生の庭園のように広がっていて、
山の起伏の緩急が山の個性を物語っていました。


昨日、登った黒部五郎岳やぁ!でっかいカールやぁ。

右から来て、山に登って下に下りて、あのカールの中を左に歩いたんだぁ。

鷲羽岳を後にして、水晶岳に向かいます。
今日は、ワコールのCW−Xの上に海パンを履いているんだけど、
そしたら中高年の団体を追い抜いたとき、
後ろから、
「近頃は、あんな格好で山登りするのかぁ」って聞こえてきました。



そうです。今年はこんな格好が山で急増です。
おっちゃん、おばちゃんも、こんな格好で歩いてましたよ。

気持ちよく稜線を歩き、
北アルプスで一番小さく、2度も風で吹き飛ばされたという水晶小屋に到着。

春に近くでヘリコプターが墜落した水晶小屋だけど、
何事もなかったかのように、
小屋の女性が、屋根に登って、気持ちよさそうにのんびりと髪をとかしてました。


水晶岳に登る人たちがデポしたザックがずら〜り。

頂上直下の岩々な所を慎重に登ると、


水晶岳山頂

うっひゃ〜!

やっぱりここまで来た甲斐がありましたよ。
ほんと、ドッカーンと迫力のある山並みは綺麗ですよぉー。
浮かんでる雲までが、芸術的に見えてくる!


一昨日、登った薬師岳やがなぁ!

20人近くの団体さんが降りたら、急に静かになって、
しかも狭い山頂を独占です。


このポージングって、一人でやると恥ずかしい・・・。

山岳部夏合宿隊のY道さん、H江さん、Y村さん、S山さんが、
前日に、この水晶岳を通って赤牛岳に向かうという予定を知ってたから、
偶然を装ったバッタリ出会いも考えて、出発日を1日早めようとしたのですが、
日程が合いませんでした。


左奥は奥穂高岳、中央奥は西穂高岳、手前右は鷲羽岳

それにしても、
北アルプスの最深部だけに、なかなか来れないから、
降りるのがもったいなくて、
1時間あまりも溜め息もののすばらしい景色をグルグルっと眺めていました。

水晶岳からは鷲羽岳に戻らずに岩苔乗越へ向かい、
黒部源流の谷筋を降りて、三俣キャンプ場へ戻るコースを歩いたら、
高山植物のてんこ盛りでした。

ベンケイソウ? 落ちそうなスノーブリッジ シナノキンバイ
ハクサンイチゲ ミヤマキンポウゲ オンタデ


テントを片付けて双六キャンプ場へ向かう途中に双六岳があるけど、
前に登ったことあるから、
双六岳の麓を歩くショートカットの中道コースを進みます。

双六小屋のテント場は、月曜日だからか閑散としていて、
どこにテントを張ってもよさそうだけど、
風が強いから、テント場の真ん中に張るのはやめときます。


2007/8/21

今日は、山を降りるだけですが、辺りはガスに包まれて、静かな朝でした。
双六から鏡平を経て新穂高温泉へ降りる小池新道を歩きます。


鏡平小屋です。

小屋のご主人と話したら、お盆を過ぎてめっきり登山者が減ったそうです。
でもまた、紅葉シーズンには賑わいを戻すので、
静かなひと時なんでしょう。


わさび平小屋には誘惑が・・・。冷たくておいしそうだけど、もうしばらく我慢。

わさび平小屋まで降りてくると、やっぱりまだ夏の暑さでした。

新穂高温泉バスターミナルの無料の温泉に入った後、
富山へ行くバスを待っていると、
着いたバスから怪しい男女の若者グループが降りてきました。
揃いの黒い革もどきのハーフパンツ、Tシャツの上にピンクや緑のタンクトップ、
髪は金色や茶色です。

リーダーらしき男に話しかけてみたら、大学の登山サークルの山行で、
それぞれのグループが考えたユニフォームで、
いくつかのコースから槍ヶ岳を目指して登り、
槍ヶ岳で合流する7日間の合宿だそうです。

格好からは想像できないくらいマトモな話ぶりだったから驚いた。

山には、新しい波が押し寄せているようです。
堅苦しそうな体育会系正統派のワンゲル部とは一線を画し、
自分たちのスタイルで山で遊んで楽しもうとするサークル派。
CW−Xと海パンに新しさを求めてる場合じゃない。

地味な山では、目立つが勝ち!


富山の秋吉でひとり打上げ会

帰宅の時間調整で、富山駅前の秋吉にまたしても入ってしまいました・・・。





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