船体が大きくゆれる。寝ていた乗客も一斉に起き出し、騒ぎ始める。
「えっ?何があったの」
ルイージも起きだした。しかし隣のマリオは爆睡している。
「おいっ。何があったんだ!」
「お母さんどうしたの?」
「今の揺れはなんだ!」
「お客様。落ち着いてください」
「何だアレは!」
青年の言葉で全員がその方向を向く。この宇宙船の2倍はあろうかというカラスガイ(スイミーより)のように黒い
宇宙船があった。それはキラーのような形をしており、先端には白い髑髏の絵が描いてある。
「あれって最近名をあげてきた盗賊団じゃないか?」
「そういえばみたことあるな・・・」
「どうしたもんかな!?」
リンクは通路をはさんで隣にいるカービィをみて、おもわず声をあげる。カービィの目には光がなく、口が
半開きになっている。その視線の先には、無残にもつぶれたマキシムトマトが・・・・・
「カ・・・・・カービィ?」
リンクが声をかけるとカービィがすっと立ちあがる。そしてヤングリンクの方を向き
「剣かして」
「うっ。うん」
剣をうけとると宇宙船の出口へ向かう。頭には先に少し黄色を帯びた綿のついた、緑色の帽子をかぶっている。
「アレ。止めた方がいいんじゃないか?」
フォックスが自信なさげに聞く。
「いや。俺は止めたくない」
ファルコは明後日の方向を見ながら答える。
添乗員が止めようとしたが、禍々しいオーラの前に立ち尽くしている。乗客も黙り込んでいる。スマデラメンバーも正しい
判断だとおもった。小さな声がする。
「なんだお前は?」
「どかねぇとぶっ殺すぞ」
「「「「「「「「「「やめときゃいいのに」」」」」」」」」」
この時のカービィはヤバイ。相手を同情してしまうほど。
「ぐはっ」
「よくも・・・」
「つえぇ」
「ボクの・・・・」
「しねっ!」
「トマトをーーーーっ!」
ズパッ
カービィが行ってから5分ほどしたころだった。あの黒い宇宙船はとても美しい小口切りにされていた。カービィがもどっ
てきて何事もなかったように席につく。マリオはまだ爆睡している。
「ふう。すっきりした。じゃあ寝るわ」
それから10分ほどしてから警察がきた。何があったのか聞いたが、答えるものはいなかった。
【これより当宇宙船はウインタースノーに着陸いたします。シートベルトしっかりお閉めください】
「またやるのか」
「頑張れリンク兄ちゃん」
「なぁ?俺が寝てる間になんかあったのか?」
マリオの問いに答えるものはいなかった。
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