KenYaoの生命研究室

1997/06/22制作
2006/06/05更新

生命進化の旅


生命進化の旅は、「地球の誕生」からはじまり「人間の出現」にいたる気の遠くなるような「時間の旅」である。

生命がどのように誕生してきたかは、まだはっきりわかっていないが、地球環境の変化と共に生命が生まれ、そして生命が地球の環境を変化させてきた。
現代社会の二酸化炭素の急増による地球の温室効果、フロンなどによるオゾン層の破壊など・・・地球の環境は刻々と変化している。

生命進化の旅はたとえ「人間」という種が絶滅しても、次の生命にバトンタッチされていく。しかし、地球上の生命が永遠に存在しつづけることなない。

天文学者の計算によれば、約50億年後太陽の寿命が尽きると考えられている。このとき生命進化の旅も終息を迎える。


原始の海・誕生

始生代(46億年前〜38億年前)

原始地球 46億年前 46億年前ころ誕生したばかりの「原始地球」は、その重力で引き寄せた微惑星や隕石の衝突で成長していった。これらの衝突エネルギーで地表はしだいに高温となり、地球はマグマの海となった。マグマの海から蒸発した二酸化炭素、窒素、水蒸気等は地球に大気を形成していった。

やがて微惑星の衝突も少なくなり、地球が冷え始めると大気中の水が雨となって降り注ぎ地表を冷やし、雨はまた水蒸気となり循環し地表を固めていった。

38億年前ころ、降り注ぐ雨が地球上にあふれ「原始の海」ができる。二酸化炭素は海にとけ込み炭酸塩鉱物として堆積し、また火山ガスとして大気中に放出されという循環で、大気が安定する。



地球進化カレンダー

生命誕生の時代

始生代(38億年前〜35億年前)

この地球に生命が出現しのは、およそ35億年前。 私たちには猛毒の硫化水素が吹き出る熱水の海の底で、生命が誕生する。 長い進化の後、生命は核酸と蛋白質を守るため細胞膜を獲得する。
    生命の特徴
  • 外界との区切り(細胞膜)、細胞構造がある
  • 自己複製することができる
  • 自己維持機能をもっている
  • 進化する能力がある
    生命誕生 38億年前

●チューブワーム
現在深海海底火山の吹き出し近く生息する「チューブワーム」は硫化水素を 取り込み、体内で共生する硫黄細菌に供給し、その細菌がつくる栄養素等に依存 して生活している。酸素のなかった太古の地球で、最初に繁栄した生命の子孫と 考えられている。



先カンブリア時代(1)

(35億年前〜)生命進化のはじまり

  • 最初のバクテリアは原始の海で硫化水素を使って光合成を行った。
  • 35億年前頃-->変種のバクテリアから酸素を吐き出すものが登場した。
    そのなかでもシアノバクテリアは究極の(最も成功した)生物といわれる。水・太陽光線・二酸化炭素(地球環境の構成要素ばかり)があれば、海水でも真水の中でも生きてゆけるのである。すべての食物連鎖のスタートの生物(最も重要な有機体)となった。やがてシアノバクテリアの大繁殖時代をむかえ、排出する大量の酸素でもって地球の環境を変えていった。
  • 30億年前頃 -->微少生物が海中のカルシュムと二酸化炭素を取り込み石灰質を作り始める。
  • 27億年前頃 -->マントル対流の変化で地球に強い磁場ができる。

●現存するシアノバクテリア
オーストラリア大陸は最も古い大陸の一つである。その西海岸、シャーク湾奥深くにあるハメリンプールの入り江には、現在もシアノバクテリアの子孫が繁殖している。この入り江は浅く、外海とのつながりが少ないため塩分濃度が約2倍と高く、ほかの生物の環境には適していないらしい。シアノバクテリアは舞い上がる砂粒を粘膜で繋ぎ止めながら、成長する踏み石(ストロマトライト)を作りながら繁殖している。



先カンブリア時代(2)

原生代(25億年前〜)多細胞生物の出現

  • 24〜22億年前頃-->地球全面凍結。
  • 22億年前頃  -->真核生物の誕生。大量の鉄分が海水に解け、酸素と結合する。
  • 19億年前頃  -->超大陸ヌーナが成立する。
  • 17億年前頃  -->多細胞生物出現か。
  • 15億年前頃  -->細胞内にミトコンドリアや葉緑体をとりこみ、藻類が出現する。
  • 10億年前頃 -->超大陸ロディニアが成立する。
  • 9〜7億年前頃-->性のシステムの誕生
  • 8〜6億年前頃-->地球環境の激変(地球全面凍結)を経験し、徐々に大気が安定してくる。 エディアカラ動物群が誕生する。

地球全面凍結 ●地球全面凍結
24〜22億年前頃、地球上の各所でこの地層から迷子石と氷河性堆積物が多く見つかり、長年の謎であった。ポール・ホフマン博士の全球凍結仮説が、古磁気学の進展で支持されるようになった。シアノバクテリアによる酸素増加によりメタンガスの減少が引き金となって、地球が全面凍結したという。火山活動で増えたCO2でゆっくりと氷が解ける。藻類光合成で大気中の酸素が増加し、一時現在の酸素濃度ちかくになる。そのご、現在の1/20程度で安定する。(参考6-第2巻P50)

ミトコンドリア ●ミトコンドリア
真核生物の祖先がミトコンドリア(原核生物)と出会った時は、敵対にあったと考えられます。自分より小さい原核生物を取り込んで消化しようとしたのでしょう。あるいは、病原菌が人に感染するように、原核生物が真核生物の祖先に進入し、寄生しようとしたのかもしれません。
ある時2種類の生物は共生を始め、ついには融合に発展しました。その日以降、共生しているかに見える原核生物を取り出すと真核生物の祖先は死んでしまうようになりました。また逆に、取り出した原核生物はそれ自体では増殖出来なくなりました。お互いに、相手なしでは生きられないのです。この原核生物がミトコンドリアです。(参考8/P54)

性のシステム ●性のシステム
生命誕生からおよそ20億年が過ぎ、生物の多様化が始まろうとしている。特に「性のシステム」の誕生が、多様な環境に適合する生命進化のシステムをもたらした。

●再度の地球全面凍結と酸素大量発生
8億年と6億年前頃、地球のCO2の減少が引き金となって、地球が全面凍結したらしい。やがて火山活動で増加したCO2の温室効果で氷が溶け、一気に50度近い高温環境ににジャンプしたという。巨大なハリケーンが海中を攪拌して、海底のミネラル分が浅い海にいきわたる。活発化した藻類の光合成で大気中の酸素が増加し、現在の酸素濃度となる。多細胞生物への幕が開く。(参考6-第2巻P101)

●エディアカラ動物群エディアカラ 6億年前
地球環境の激変の後、生き残った生命の進化が加速しはじめた。生物は酸素を使用して呼吸以外にコラーゲン製造をはじめ、生物の大型化がはじまる。そして、動物の祖先とみられるエディアカラとうい生物が登場する。クラゲ風の大型生物で波打つ際の浅瀬に生息し、オーストラリアの南で化石として発見された。(参考6-第2巻P103)


地球進化カレンダー

旧古生代(5億7000万年前〜)

カンブリア紀を(5億4500年前〜)とみる動物年代説もある

  • カンブリア紀(5億7000万年前〜)-->超大陸ゴンドワナの成立・ 「進化の爆発」バージェス動物群・三葉虫・魚類の出現
  • オルドビス紀(5億1000万年前〜)-->甲冑魚の出現
  • シルル紀 (4億4000万年前〜)-->珊瑚礁の出現・陸上植物・肺魚の出現
●バージェス動物群
カンブリア紀は地球の気候が安定し「進化の爆発」が起き、いっきに1万種以上の生命が誕生したといわれる。
カナダ・バージェス頁岩の化石として発見されたバージェス動物群が有名である。さまざまな種を生んだ原因の一つに、肉食動物の出現が弱肉強食の生物社会を作ったといえる。動物たちが覇権を競って、基本的な体のデザインをすべて試してみた時代である。

●三葉虫
三葉虫 5億4000年前 この化石が発見された当初は、魚の骨と思われたり、羽のない昆虫と思われたりしたらしい。三葉虫はカブトガニに近い古代生物で海底を這い回って生活していた。カンブリア紀からオルドビス紀に特に繁栄したが、朝鮮半島でみられるものは古生代末期のもの。

●珊瑚虫
サンゴ虫はオルドビス紀からあらわれ、珊瑚礁をつくるものもそのころからあった。サンゴは大気中の二酸化炭素を大量に取り込み、石灰質の殻をつくる。現在世界中に分布する大量の石灰岩は珊瑚礁の化石化したものが主で、シルル紀時代からのものが多い。

●陸上植物
植物が地上に進出したのは4億年前のシルル紀からで、胞子で増える苔のような植物であった。大気中の酸素がオゾン層をつくり紫外線を吸収する環境ができつつあった。


新古生代(4億0000万年前〜)

シダ植物の森 3億5000万年前

  • デボン紀 (4億0000万年前〜)-->両生類の出現・裸子植物の出現
  • 石炭紀 (3億6000万年前〜)-->シダ植物の森林・昆虫・は虫類の出現
  • 二畳紀 (2億9000万年前〜)-->超大陸パンゲアの成立・乾燥化・哺乳類型爬虫類
  • 2億5000万年前:巨大火山活動で生物絶滅
●森林の発達
3億5千年前ころから、水辺地域にシダ植物の大森林が発達した。このころ堆積した植物の泥炭が石炭層を作る。また昆虫などの動物も地上に進出し、巨大化する。

●ブズリナの化石
ブズリナは数mmから1cmほどの大きさで米粒のような形をした原生動物で、石灰質の殻を持っている。このブズリナが生きていたのは石炭紀中頃から二畳紀にかけてで、世界中に広く分布しているので、地層の年代を特定することに利用できる。このような化石を「標準化石」と呼んでいる。

●巨大火山活動
2億5000万年前、パンゲア大陸の一部が割れ激しい火山活動が起こりました。地球上全生物の70%が絶滅したといいます。
その痕跡はシベリアで発見された玄武岩層で、面積はオーストラリア大陸の半分ほどと推定されています。火山活動の原因は、大陸地下深くのマントル上昇(スーパープルーム)でした。スーパープルームが発生したのは、地球の複数あるプレート沈み込みが偶然にも超大陸周囲で同時に起きたため、その反動でマントル上昇が生じたと考えられています。


中生代(2億4500万年前〜)

恐竜 2億年前

地球の酸素濃度が減少し、環境に適応できた恐竜や哺乳類が現れる。
  • 三畳紀 (2億4500万年前〜)-->恐竜・哺乳類の出現・針葉樹林の発達
  • ジュラ紀 (2億0000万年前〜)-->裸子植物の繁栄・鳥類の出現・アンモナイトの繁栄
  • 白亜紀 (1億4500万年前〜)-->被子植物の出現・恐竜の絶滅

●アンモナイトアンモナイト 2億年前
古生代の海に栄えていた三葉虫に代わって、中生代の海はアンモナイトが繁栄した。アンモナイトは広い意味では貝であるが軟体動物頭足類(イカの仲間)に属し、現在のオオム貝に近い。

●パンゲアの分裂
2億年前地球の大陸は、北方のローラシア大陸と南方のゴンドワナ大陸が繋がり超大陸パンゲアを形成していた。大陸内部には砂漠がひろがり、乾燥した気候であった。
この超大陸(パンゲア)がこの頃から分裂し移動を開始する。

大陸移動 2億年前大陸移動 1億3000万年前大陸移動 6500万年前

大陸分裂>2億年前・・・・・・・1億3000万年前・・・・・・・・・6500万年前

大陸移動説を最初に唱えたのは、ドイツの気象学者アルフレート・ウェゲナーで、1912年の地質学会であった。彼の大陸移動説は、著書「大陸と海洋の起源」にまとめられ、1915年に出版された。しかし、ウェゲナーの理論はほとんど相手にされず、半世紀あまり眠りにつく。(参考5/P230)


巨大隕石衝突 ●恐竜絶滅は巨大隕石説
地球環境の変化が原因か?6千500万年前、恐竜は絶滅する。1980年、アルバレス博士ら(カリフォルニア大学バークレー校)約6500万年前直径10キロの巨大隕石が地球に衝突し地球環境の急変が起きたという仮説を発表した。





新生代(6500万年前〜)

新生代

  • 古第三紀 (6500万年前〜)
    温暖な気候が続き、哺乳類が発達する。
    • 暁新世 (6500万年前〜) -->被子植物の繁栄
    • 始新世 (5600万年前〜) -->哺乳類の多様化
    • 漸新世 (3400万年前〜) -->

  • 新第三紀 (2300万年前〜)
    気候の寒冷化が進み、北半球に氷河ができる。
    • 中新世 (2300万年前〜) -->草本植物の繁栄
    • 鮮新世 ( 500万年前〜) -->類人猿の進化



  • 第四紀 ( 180万年前〜)
    • 更新世 ( 180万年前〜) -->人類の出現・旧石器時代
    • 完現世 ( 1万年前〜) -->新石器時代・金属時代

ヒマラヤ造山運動 ●ヒマラヤ山脈
2億年前巨大大陸から分裂したインド大陸が1億数千万年の時間をかけて移動し、今からおよそ4500万年前ユーラシア大陸とぶつかる。インドプレートがユーラシアプレートに潜り込み、ヒマラヤ山脈及びチベット高原を造った。インド大陸とユーラシア大陸に挟まれた内海時代にできた、珊瑚礁などによる石灰岩の島が隆起して連なる山頂となる。



地球進化カレンダー
注:年代区分の年数字は「ウィキペディア(Wikipedia)」の「地質時代」を参考にしました。

▼参考文献
  1. NHK取材班著「地球大紀行」1987、日本放送出版協会
  2. NHK取材班著「生命40億年はるかな旅」1994、日本放送出版協会
  3. 沼田・河合・日高・澤田・松井編「生命の地球」1998、三友社出版
  4. 室伏きみ子著「生命科学の知識」1997、オーム社
  5. 高橋清一著「宇宙・地球の神秘と謎」1998、日本文芸社
  6. NHK取材班著「地球大進化」2004、日本放送出版協会
  7. ガブリエル・ウォーカー著(渡会圭子訳)「スノーボール・アース」2003(訳2004)、早川書房
  8. 西田徹著「時空を旅する遺伝子」2005、日経BP社


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