おとぎばなしの住人とて、その大半は市井の民だ。
勇者と魔王、英雄と巨悪だけで構成される世界など無い。
彼らは、世界の創造主にとっては、名も無き通行人であり、親切にも次の目的地までの経路を独りつぶやく街人であり、はたまた様々な問題で足止めされて嘆く旅の行商であったりするのだが、実は、それらは全て一時の仮の姿である。
慌しく平凡な平日の世界の中にいて、当たり前のように考え、選び、動く、自由な体と一つの意思で生きる真の姿。
自分たちが歴史の表舞台に立つことを露ほども考えず、慎ましくも賑やかに日々の生活を営んでいたりする。
(Behind the Fairy Tale)
→ NEXT 1.